すずきじみい

福田村事件のすずきじみいのネタバレレビュー・内容・結末

福田村事件(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

監督: 森達也
脚本: 佐伯俊道
  井上淳一
  荒井晴彦

もうメジャーな映画、ドラマでは見られない東出さんとピエール瀧が見れる、というのと、こんなマイナーな感じの作品なのに、私の住む田舎のイオンシネマで上映しているという驚愕の幸運が重なり、映画館でリアタイ鑑賞してきました。

お客さんも、平日の昼間なのに、20人位入ってて、
ゴールデンウイークのGOTGvol.3の初日夜8時の回より多かったのも驚きでした。

これを機に、メジャーじゃなくても、いい作品なら田舎だって、人が入るんだって気がついてよぅ🙏
そして、
田舎にもミニシアター系映画もっと引っ張ってきてくれ〜!


期待してた東出さんもピエール瀧さんも、
順風満帆な人生の頂上からの転落で、
もっと深い翳りや闇を漂わせてるかと思いきや、以前と全然変わってなかった😜

政府がプロパガンダの為に流す嘘情報をまに受けて、人間の理性を失ってる自分に全く気がつかない程洗脳される人々を、
こんな人達、そんな多くないでしょ!
と思うけど、
2023年の今でも、政府の出す間違った情報を鵜呑みにして、大きな害のない処理水を、恐ろしい核汚染水だと思込んでいる大勢の中国人の方々がいるのを見てると、
人間て、こんな簡単に洗脳されちゃうんだと。

自分の国を愛し、その政府が嘘を発信してるなんて考えない、純粋な、褒められるべきである事が、逆に危険でもあるのだと。

又、誤った情報の流布が人々に憎悪を植え付け、ヒステリック状態にするという恐怖以外にも、
部落民(穢多)に生まれてきたというだけで、差別を受けて生きる人々の辛さも描かれていて、
暗い境遇で育ちながらも、向上心を持ち、望みを捨てなかった若者、敬一が、
凶器を持って襲いかかってくる村人達を見て、自分が殺されるのを確信し、
どこまでも呪われた自分の運命に降伏し、
声を震わせて言うセリフ
「何の為に生まれてきたんだ」
というのに、その絶望が凝縮されてるようだった。

ただ、ラストは惨劇を免れた残りの部落民の人達の様子を感傷的に描いて終わりだったけれど、
それを見せるより、
殺戮を働いた村人七人がそうじょう殺人罪で刑務所に収容されたけれども、2年5ヶ月後、昭和天皇即位による恩赦で釈放され、その中の一人はのちに選挙を経て、村長になり、最後は市議会議員にまでなったという事実を描いた方が、作品の伝えたい事がより鮮明になったと思うし、
そこが森監督のドキュメンタリー出身という資質が活かされるとこだと思うので、残念だった。

森監督は脚本を書いてないので、
御大荒井晴彦さん始め、そうそうたるライター3人が
(邦画によくある)感傷的な味付けを優先という悪癖を除けなかったのか、
又は一度は罪人として裁かれた村人達の子孫の方に気を使いすぎて、その後を描くのをわざとやめたのか‥‥
この内容で、ピエール瀧や東出さんを出しておきながら、
もし、誰か、又はどこかの方面に気を使って作ったんたんだとしたら、
だから邦画は一流になれないんだ、と私は思う。

本当に描きたい事、伝えたい事を全部見せて、どこかから文句が来たっていいじゃないか‥‥
昔の映画監督達(プロデューサーも)はそれを恐れなかったのになぁ。