このレビューはネタバレを含みます
必要かな?と思うBGMがあったのだが、
福田村村内での殺戮時のときの音は適切だなと思った。
正直なところ、今の日本と何が変わったかと言われれば細部が変わっていないと思ったので、結論、何も変わっていないのではないかと虚脱感に苛まれた。
しかし史料に基づいて(エンドロールに史料参考にしたであろう機関が複数あった)構成され、かつ村民の生活と都市圏の生活をつなぐように放浪する新聞記者と薬売りが行き来し、物語が展開されていく本作は、無駄があまりなく、すっきりしていて見やすい。彼、彼女らの生活がとんとんとんとすすんでいくなかで、あらわれるどす黒い影が加える変調が際立つ。
ただ、通達が来たときや戒厳令がしかれたときの村民の表情からじゅうぶんにそれは予感できた。とんとんと進むなかに、きちんと違和感があった。緻密だと思う。
でも本当に、この頃から今にかけてなにか変わったところがあるのかなあ、と思ってしまう。