このレビューはネタバレを含みます
鑑賞前に事件のあらましを予習しました。
これだけの酷い事件を何も知らなかったのが驚きでした。明るみに出てないのと一緒ですよね。今多くの方がこの事件をこの映画をきっかけに知った事でしょう。それだけでこの映画の意義はあると思います。
森さんもこの企画を長年あっためて企画が通らずいたところを奇跡の巡り合わせで映画化したようです。
察するに映画制作の目的の大半はこの事件を知らしめる事かと思うしその点においては成功かと思う。
映画の仕上がりはだいぶつたない。そこを差っ引いても意義は大きい。
とにかくこの事件の事が知れたというその1点。俺も映画観なくてもネットで福田村事件について調べるだけ調べて欲しいという気持ちです。
事件の描き方がとても森さんらしかった。
ドキュメンタリー作家として論客としての森さんの事を俺は少しアイドル視してるくらい彼のことが好きで昔から彼は集団ヒステリーの危険性に警鐘を鳴らしてましたよね。
この映画でも明らかな実行犯を描きながらその人を吊し上げ罰を与えるという描写がなく全ては集団ヒステリーが悪といった描き方のように見えました。
映画なんだから勧善懲悪にしてくれよ…
という気持ちは残りました。差別が悪いという描き方ですらなかったように思えました。
あいつが悪いんだからあいつを絞首刑にしろよー！という気持ちが残ります。実行犯は逮捕されますが日本の謎制度によりすぐ釈放されますよね。
森さんらしくてブレないなという事もありますが「集団ヒステリーって怖いでしょ！？黒幕はコレですよ！」というパンチラインはこんな凄惨な事件を描いた映画としては少しばかり弱いという気がしてなりません。
もちろん集団ヒステリーは愚かしく発動条件が整えばめちゃくちゃな事が起こるというのはコロナも放射能も新興宗教問題にも通じるので確かに怖い事なんですがその手前に差別があり、思慮が浅いという罪があり、すべからく人間の愚かさがあり…
そうか集団ヒステリーも人間の愚かさのひとつか…
確かにそうだけど森さんマジなんなん…
この映画観てもあんまり熱くなれなかったよ。
何度も言いますがこの映画が無ければ事件を知れなかった。この1点においては大感謝。でも映画の仕上がりが良ければ口コミが拡がって更に多くの人にこの事件を知らしめる事が出来たのにという思いが残ります。
題材はめちゃくちゃ良いんですが。。。
ああ、でも瑛太のセリフはめちゃくちゃ良かったね。刺さったね。でもそのセリフが流れていっちゃうような映画の造りにやはり不満が残った。
役者さん達良かったし、世界観も良かったので全体的には良かったです！
