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福田村事件のmitzのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.5
1923年 関東大震災の混乱の中、この国で起きた日本版ホロコーストの詳細を暴いた社会派ドキュメンタリーを手掛ける森達也監督の初映画作品。
前半は千葉県福田村の人々の人間関係。そして東を目指して香川県を出発した薬売りの行商人たちの穏やかな生活を丁寧に描いています。
その裏で大正デモクラシーの大義名分の元、市民の不安を助長する歪んだジャーナリズムの存在。それが火種となり流言飛語が飛び交う中「朝鮮人たちが攻めてくるぞ!」という警戒心と不安に満ち満ちた福田村に訪れた行商団。そして震災から5日後となる9月6日に悲劇は起きます。
情報に踊らされ、疑心暗鬼に陥った村人たちと目を血走らせる自警団たち。極限にまで排他的となった人々の醜悪。集団心理の危うさ。そして正義感。
闇に葬られた史実を掘り起こし、善悪ではカテゴライズできない人間性の「本質」を丸100年後の未来を生きる私たちに突き付けられる凄まじい映像体験です。

あと水道橋博士はもうとっくに壊れてしまっています。
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