おかちゃん

福田村事件のおかちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

福田村事件(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

私は以前からこの時代に歴史的&文化的興味があり、色々推敲の上で映画館に脚を運んだ。
「重いテーマの映画なのに凄い客の入り⁉️若手俳優を使うとこうも入るのかね…?」久振り休日映画館の為か観客数に圧倒される。
物語展開は、流石若松組出身の荒井晴彦絡み脚本。ただ、どなたかが指摘するように少し作り込みかな…とも思える処もあった。映像は極めて日本的(緑豊かな田園)風景でちょっと遠雷(根岸作品)を思い出させる。
・田中麗奈=常道の奔放な金持女を演じる。コムアイのメタファ的存在。
・コムアイ=熱演。旧き良き日本(ある意味で亜細亜的)清楚感にホンノリした後家さんの色気を漂わす。
・水道橋博士= やや太った。ハリセン春奈ソックリ。 いつ「角野宅造じゃねーよ 」って言うか、ずっと頭に付きまとって観てた(笑)
映画主題は当時の不安定な時代背景の中で様々な問題を盛り込んでいく。
・村社会の閉鎖制
・大正期の経済成長と階級格差
・田舎の群像劇(世襲の羨望など)
・侵略戦争に翻弄される家族&夫婦関係
・男女の性愛とその生 e,t,c
極めて日本の凡庸たる歴史風景を刻んでいく。「 今も昔も変わんねえんだな〰️」そう、これは今の時代と 比べても何も変わっていない。結局、人間は昔も今も本能的に感ずる事は変わらない?と暗澹たる気持ちにさせられた。私の歴史的興味は得られたが文化的興味は裏切られた。で、暫くすると「要は魔女狩りじゃないの⁉️日本特有の問題じゃないよね。」と妙に自分に言い聞かせるのであった(笑)
映画はエンドでプロモに用いた画を流し、観客へ主題テーマを遡上し終わる。

現実の歴史展開は、
・ 流言蜚語を政府見解とし、 戒厳令発令した時の内大臣と警視総監は政局転換で辞任❗️(何という曖昧さ)
・その後の帝都復興を任された後藤新平→満州へ渡り満鉄創設。その満鉄も後年陸軍の開戦口実に利用される。
・モラトリアムと復興債で切り抜けようとした井上蔵相も血盟団事件で亡くなる。
・そして、この時の負債と昭和恐慌で借金解消のためますます帝国主義戦争に突っ込んでいく日本。
★どこか今の世相と似てないか?
我々日本人、否、現代人は成長してるのか?素晴らしく便利で情報溢れる社会になっても、たいして変わってないのか…。本当に暗くさせられる映画だった。