ミサホ

福田村事件のミサホのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
3.8
話題作を観て来ました。
来週半ばに上映終了とのこと。
ヨカッタ…間に合った。

こんなむごたらしい虐殺事件が実際にあったのだ。似たような事件はきっと他にもあったのだろうけど、福田村事件は100年の時を経て日の目を見た。

人って、自分が実際に見ていない物事でもいとも簡単に信じてしまうんだよなぁ。何かと何かを結びつけて、整合性を取っていく。本作では、それが話す言葉や扇子なのだ。

加えて集団心理や間違った正義によって、いとも簡単に口火が切られて、起こる事件。人を殺すとこまで行っちゃうんだ。

でも、当事者はどうにか自分の行為を正当化して、国の、そして社会のせいにする。そうやって、自分を納得させる。仕方なかったんだと。

100年の時を経ても差別って相変わらず無くならない。まるで争いを渇望してるみたい。憎しみを拡散して不安や満たされないものを埋めてバランスを取ってるみたい。

人間にどす黒く巣食っているもの。
弱い人間の根底にあるもの。

被害者となった行商の中にも、差別する人はいて、人間社会の残酷な図式を突き付けられた。台詞の回し合いなどは、舞台演劇を観ているようで、ちょっと気になったけど、不穏な太鼓の音の効果は抜群だったと思う。

優しい人間でも心が弱いと
良くない方へ持っていかれるのだなぁ。
優しいよりも強くありたい。
ミサホ

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