たかまさ

福田村事件のたかまさのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.3
恥ずかしながら、このような事件があったこと自体この映画を知るまでは全く知らなかったです。見終わった後の頭ぶん殴られたような衝撃は忘れられないです。

序盤、中盤は戦時中であっても穏やかな村の生活の中に、差別的な表現(エタ、鮮人など)を少しずつ含んだ上で進みました。終盤に近づくに連れて、「あ、これやばいんじゃない?」と思った矢先の斧と和太鼓で始まる虐殺シーンは言葉を失いました。

何が正しくて何が間違っているのか、当時の口と口の伝言ゲームならそれが歪曲して伝わることもあるだろうし、村という閉鎖的環境でならではの集団圧力の怖さを感じました。自分でもあの中で反対意見を口に出せるかと言われると自信はないです。

自分は熊本地震(2016年)を現地で被災したんですが、その時でもデマや憶測がLINEやTwitter上で飛び交っていたのを思い出しました。スマホに慣れてる現代人ですら似たようなことが起こっているのを見てると、容易に自身の考えを不特定多数に発信できる以上、一度立ち止まって考えるべきだなと思いました。

最後に、本作のパンフレットの出来がとても良かったです。鑑賞後に買うことを強くおすすめします。
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