カツセマサヒコ

福田村事件のカツセマサヒコのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.1

「戦争は女の顔をしていない」というタイトルの小説があるが、鑑賞中、その言葉がずっと頭に響いてた。おっさんたちがもたらす、いいからやっちまえ、のムード。ホモソーシャルな社会そのもののようで息苦しさしかない。

世間に好戦ムードがあると、知は怒号に負ける。せっかく学んだ学問は、役に立つどころか加害に使われたりもする。その無力さ、歯痒さがただただしんどくて、何度も目を背けたくなった。俺たち大丈夫なのかなって、何度も不安になる。

どうして令和になった今でもなお、この映画が刺さるんだ、と思うと、人類は過去から何も学べていないのだと途方に暮れそうになるが、ただ、この映画がきちんと映画館という開かれた場所で公開されているというその一点に、確かな希望を感じられた。

人命に価値の重さの序列などない。そんな当たり前のことを、何度も何度も何度も説いていかなければならない。