くぅー

福田村事件のくぅーのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.2
【my映画館2023 #48】

“なんでなんでなんで…”

»1923年の関東大震災直後の都心では朝鮮人が襲ってくる等の流言飛語が飛び交って緊張が走り、やがて千葉県福田村にも影響は出てきて、四国からの行商団を朝鮮人と疑った村人たちが取り囲み、一触即発の事態となってしまう。

はい、新たな強烈な実話ベース作品が現れ、あえてこの時代に作ったのには納得で…特に終盤は結末は知っていても、あの太鼓の音の様にバクバクして釘付けとなることに。

で、展開としては、しばらくは迷える世相に人間模様を伏線として丁寧に生々しく描くので、冗長に感じつつも…大震災当日の9月1日を境に一気に惹き込まれましたね。

そう、情報の少ない時代に混乱と混迷が同時に来たら、見えない恐怖に疑心暗鬼になりまくる訳で、ここでも改めて不安になった時の人間の脆さに弱さに怖さに醜さをまざまざと見せつけられて。

うん、SNSで繰り広げられるフェイクや憶測に誹謗中傷に、間違った正義で暴走するYouTuber連中等の現在の縮図を目の当たりにしてるようで…謝罪よりも責任転嫁の言い訳をするパターンも多いし。

にしても、100年経っても我々は変わらないのか変われないのか…そんな自分は大丈夫なのかと、森達也監督の力作に重い足取りの帰路でした。

なお、俳優陣では、まずは井浦新…静かに的確に作品をリード。
田中麗奈…掴みどころのない熱演を披露。
永山瑛太…堂々と異質を見せます。
東出昌大…この面々でも流石の存在感。
さらには、怪演の水道橋博士を筆頭に、豊原功補に松浦祐也に、コムアイに木竜麻生に向里祐香に、柄本明にピエール瀧らのサポートが良き。
くぅー

くぅー