関東大震災が起きたその時、
「朝鮮人が震災に乗じて集団で襲ってくる。略奪や放火をしている。」
という噂が広がった。
もちろんこれはデマだが、このデマのせいで何人もの朝鮮人が日本人に殺された。
そんな中、讃岐から千葉県・福田村を訪れた薬商人9人が讃岐弁を話していたことから朝鮮人と疑われ、殺されてしまう。
これは、実際に起きてしまった許し難い事件だ。
本作はこの事件を多くの登場人物の視点から群像劇的に描く。
軍国主義に取り憑かれた元軍人、“大正デモクラシー”をなんとか推し進めたい市長、朝鮮戦争で忘れられない後悔を残した元教師…
前半は何故かメロドラマの様相が強く、やや冗長に感じたが後半の畳み掛けには息を飲んだ。
商人達がどうなってしまうのか、知っているはずなのに叶わぬ未来を切望してしまう不思議な体験となった。
最後の記者の言葉が、この映画にかけた想いに感じた。
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