真田ピロシキ

福田村事件の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
3.3
ここ3日間Twitterを閲覧すると井戸デマを面白がって流布する宇宙で最も下劣なゴミを通報する作業が始まります。どうせ腐れイーロンがトップだからこの行為にあまり意味がないのに。徒労。

そんな時に見たのがこの映画。悪いが一言で言うとテーマで評価に下駄を穿かされていると思える。飴売りの朝鮮人が殺される描写はあるものの、主となっているのは地方の日本人が間違われて殺されたこと。そうでなければ企画を通せなかったことに限界を感じられ、私にしたら今更な内容でしかない。本を読んだ方がずっと心に打ちつける。2014年に出版されたルポタージュ『九月、東京の路上で』を薦める。

ここに至るまでの経緯は描かれている。平均的な日本人は朝鮮人を虐げ続けてきたため復讐される恐れを抱いていて、当時らしく(今も変わらない)お上への従属意識を骨まで染み込ませ、読みたいニュースを求めている。しかも讃岐から来た被差別部落出身の行商人すら、さらに困窮する人から搾取することに後ろめたさは覚えているものの仕方ないことと諦めている。正義がない。仁愛がない。ディスイズジャパン!美しい国。偉大なる安倍晋三閣下永遠なれーキックバーック!問題はそれらを雑多にぶち込まれていることで、あっちへ行きこっちへ行って注意が留まらない。画に面白みもなくては退屈。ドキュメンタリー監督の弱み。

さらにオジサン監督の感性もあり、どーでもいい必要とは思えない濡れ場に尺を費やされますます興味が死ぬ。本当に船頭との船上セックスは何で撮ったのかな?亡骸に胸を押し付けるフェチ演出も何も感じない。若い世代はこういうの望んでないってよ?自分も昔から日本映画のこれは邪魔でしかなかった。中高年のリベラルしか見なさそうな映画をあまり持ち上げられるのは虚しい…「朝鮮人だったら殺していいのか」には映画の本懐を見ることができたが、やはりこれも朝鮮人を殺した罪悪からは一定の距離を置いている。小池百合子や松野のような恥知らずが現実で大手を振っているのに、こんな妥協で戦えるとは思えない。もっともっと普通の日本人を嫌な気持ちにさせなくてはいけなかった。あまり真剣に見ていなかったが日本人による火事場泥棒らしき描写があったのは今流れているデマへの皮肉になっててよかった。そのくらい。