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福田村事件のmakoのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.2
《朝鮮人なら殺してええんか》
◎84点

監督: 森達也
脚本: 佐伯俊道、井上淳一、荒井晴彦。


遅くなりましたが、
明けましておめでとうございます🎍
昨年は、いいねやコメントをたくさん頂きありがとうございましたm(_ _)m
特にコメントはレビューの励みになっていたし、コメントの交流は楽しかったです。
いつも遅い返信で申し訳なかったですが、今年もよろしくお願いします。

2023年に鑑賞した映画の感想をまだ書ききれてません💦
まだ9月分を書いています。
少し短めに感想を書いて投稿していきます😅
と言いつつ、本レビューは長くなりました💦

本作を観る前に、クローズアップ現代で、「集団の“狂気”なぜ~関東大震災100年“虐殺”の教訓~」が放送されていたので視聴しました。
墨田区や台東区など7つの小学校の生徒が書いた震災の作文。その中で80人以上が朝鮮人虐殺の事を書いていた。
福田村事件の時の生存者の音声も聴くことができました。
加害者側の心理。
過剰防衛。
東京都知事は6年前から朝鮮人の追悼文の送付を辞めた。
福田村事件が起きた千葉県野田市。事件から100年経った今年、野田市長が初めて犠牲者に対し公式に弔意を表した。

1923年9月1日11時58分、関東大震災が発生した。そのわずか5日後の9月6日のこと。千葉県東葛飾郡福田村で実際に起こった事件を基に描かれている。

大きな震災が起こり不安な中で、定かではない噂や恐怖を煽る記事や言葉が飛び交う。
それは大きな渦となり、民間人だけじゃなく、警察や新聞までも踊らされ、罪のない人達が殺されてしまった。
当時の時代背景も影響していた。不逞鮮人という言葉が新聞の見出しに載るようになり、朝鮮人=怖い、怪しいなどと刷り込まれていた。

村を守るためにやったとはいえ、明らかにやり過ぎだ。
劇中の台詞「朝鮮人なら殺してもええんか」がとても印象的だった。
それと、9人殺されたけど(その内妊婦がいてお腹の子も合わせれば10人)、殺された人の名前を生き残った男の子が言うシーンは、涙が溢れて辛かった。

同調圧力、村の中の立ち位置、集団心理、過剰防衛、流言飛語などが絡み合いこのような悲惨な事件が起こった。
これは現代にも通じる事なので、私も噂に惑わされず気をつけようと思った。

福田村事件だけなく、当時、こういう事件が全国で起こり、多くの朝鮮人、中国人、日本人が殺されたそうです。

知らない事件を知ることができました。
ただ少し不満点と疑問点がありました。
①義父(柄本明)と嫁の関係。
義父が亡くなった時のあのシーンはいるの?
本作、こういうシーンが多いのも気になった。

②映画の史実と虚構の部分。
パンフレットを買って、市川正廣氏と脚本の佐伯俊道氏の対談を読んで、私が引っかかっていた部分を市川氏が語ってて、共感しました。
パンフレットは高かったけど買ってよかったです。脚本も載ってたし、対談も読み応えがありました。


最後に先日、テレビで大震災時とは違うけど、日本人が朝鮮人を殺した事件があり、その事件も福田村事件のようにタブー視されているとあったので、ここに健忘録として記しておきます。
「ほとぼり~1926年木本事件を追う」
1926年1月、三重県木本町(現・熊野市)で、朝鮮人2人が集団化した町民によって虐殺された。
町民とトンネル工事に従事していた朝鮮人のトラブルで朝鮮人が負傷。「朝鮮人が町に火を放つ」とのデマが流れ、それを信じた町民が武装。20代の朝鮮人男性2人が殺害された。関東大震災で起きた朝鮮人虐殺と似た構図で、2年以上もあとになって起きた「木本事件」。事件が風化している実情と、事実を後世に伝えようとする人々の願いを伝える。

極楽寺の住職の話し:
生きている時も差別を受けて、亡くなった後も差別を受けて、その差別が何十年も続いている。
極楽寺の住職は、2000年に新たに墓石を建立した。


観客 1階席 20人くらい、2階席 8人
劇場鑑賞数 #113
2023鑑賞数 #127
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