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福田村事件のkazukiseraのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
3.9
"必死で学んだ朝鮮語を、俺は朝鮮人を殺す為に使ったんだ"

福田村事件とは、1923年9月1日に発生した関東大地震の5日後、千葉県東葛飾郡福田村に住む自警団を含む100人以上の村人たちにより、利根川沿いで香川から訪れた被差別部落出身の行商団15人のうち、幼児や妊婦を含む9人が虐殺された事件のことである。行商団は讃岐弁で話していたことで朝鮮人ではないかと疑われ殺害された。

まずこれだけを読んで疑問に思う事は
"朝鮮人ではないかと疑われ殺害された"

それって朝鮮人は殺していいという事になる。

朝鮮人を殺しても罪にはならないが、間違って日本人を殺したから問題になっただけなのか。

これにはもう自分で思う存分調べてもらわなければとんでもない文字数になるのだが、関東大地震が起きた直後

「朝鮮人が集団で襲ってくる」
「朝鮮人が略奪や放火をした」
との情報がもたらされた。
それは新聞にものり、人から人へ伝わり
誰もその目で見てはいないその情報は
瞬く間に広がり、人々は疑心暗鬼に陥り、恐怖に浮足立つ事となる。

なぜこんな情報が
大地震のあと、ネットもない時代に瞬く間に広がったのか。その真相を含めて気になる人はこの作品を見るか、福田村事件とこの時代背景を調べるといいでしょう。

地下鉄サリン事件後、当時の教団広報副部長「荒木浩」を中心に、教団と信者たちをホームビデオで撮ったドキュメンタリー作品「A」「A2」など、数々の社会派ドキュメンタリー作品を手がけてきた"森達也"が初の劇映画作品として、関東大震災直後の混乱の中で実際に起こった虐殺事件・福田村事件を題材にした作品である。

井浦新、コムアイ、ピエール瀧、田中麗奈、永山瑛太、東出昌大、柄本明などなど、演者は好みの方揃いの実力派達。

幅広い層に興味を持ってもらう為には、大切な華もある面々だと思う。

これはまた素晴らしき作品をこの世に残したなぁと。。よくぞ今、この時代にこれだけの規模でこの作品を世に出せた事をただただ賞賛したい。

この国の歴史も政治も、真剣に学ぼうともしてこなかったものが、何かを綴るのはおこがましいほどの映画だったが、この作品を観てからまた多くの事を調べ多くの事を知った。

当時は興味すら持つ事も一度もなかった部類の"学び"を、映画を通して度々するようになった事は事実だ。

"昔のこの国の恐ろしい話"
そうではない。現代でもおこっている。そしてもっと恐ろしい事がいつおきてもおかしくないだろう。

この事件から100年経った今も、腐った芯はまだこの国の中心に根を張り、何も学ばず何も変わらずテクノロジーだけ発達してる。

この国の群集心理は、現在も負のイメージの方が強く、メディアが思考を操り、ネットで同調し、スケープゴートを作り集団となり駆逐していく。

この映画からの"学び"は、日本人誰もが必要だと思う。