こなつ

ロスト・キング 500年越しの運命のこなつのレビュー・感想・評価

4.0
スティーヴン・フリアーズ監督、サリーホーキンス主演映画。2012年9月、500年以上の時を超えて「リチャード3世」の遺骨の発掘と再埋葬へ尽力し貢献したフィリッパ・ラングレーという女性を描いた実話ベースの物語。

「クィーン」などで有名なスティーヴン・フリアーズ監督作品の中でやはり実話ベースで描かれた「あなたを抱きしめる日まで」、主演のサリー・ホーキンスの作品の中でも「ブルー・ジャスミン」「幸せの絵の具 愛を描くモード・ルイス」「シェイプ・オブ・ウォーター」など印象に残っているものが多く、今回楽しみに鑑賞。

仕事も家庭も上手くいかない冴えない主婦フィリッパ(サリー・ホーキンス)がたまたま観に行った舞台「リチャード3世」で、極悪非道な王として描かれているリチャード3世も自分と同じに正当に評価されていないのではないかと思ったことで、リチャード3世について調べ始める。アマチュア歴史愛好家の集まり「リチャード3世協会」という組織に入会したフィリッパは、やがて何百年もの間行方不明だというリチャード3世の遺骨探しに情熱を燃やしていく。

フィリッパが2015年に大英帝国勲章をエリザベス女王から授与され、英国王国の歴史を揺るがす大発見という記事を読んだのを薄ら覚えていて、この事だったのかと改めて感慨深く観ることが出来た。

あくまで実話ベースということなので、脚色されている部分もあるかと思うし、リチャード3世の幻影が現れて話をするなど、かなりおとぎ話の雰囲気も感じ面白おかしく描かれている。彼女のリチャード3世への思い入れがとにかく強い。埋められているならこの駐車場の下あたりで、ちょっと掘ってみてくれない?なんてフィリッパに言われても周りは半信半疑。それでも自分の直感を信じて貫く姿勢は周りを動かし、ごく普通の主婦でありながら素晴らしい。

しかし、あまり積極的でなかったレスター大学の考古学チームも遺骨が発見されたらまるで自分達の手柄の様に発表する様子は、フィリッパが会社で受けてきた理不尽な対応と全く変わらなくてとても悲しく感じた。

リチャード3世の姉の女系子孫のミトコンドリアDNA鑑定で、頭蓋骨から顔立ちだけでなく、髪の毛の色や声色までわかったというのだから現代の技術は凄い。ヒキガエルのように醜いと言われていたリチャード3世は、どうも金髪のイケメンだったとか。もしかしたら、私達は噂や嘘に振り回されて全く違う歴史の事柄を信じていることがまだまだあるのかもしれない。
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