叡福寺清子

ロスト・キング 500年越しの運命の叡福寺清子のレビュー・感想・評価

3.6
リチャード三世とキングザウルス三世の区別が,いまいちできない三遊亭呼延灼です.こんばんわ.えぇ,そうですよ.どうせあたしゃ学がないしがない落語家でございますよ.

で,本作.自らが筋痛性脳脊髄炎という誤解されやすい持病持ちのフィリッパさん.実際,社内における自身の評価に大いなる不満がございました.そんなフィリッパさん.ご子息の付き添いで舞台「リチャード三世」を観劇したことで,この歴史的人物に興味を抱くようになります.そして,世間の評価が不当であると知るに至り,ついには長らく,その死の真相が不詳であった三世に遺体発掘に乗り出しますが・・・

フィリッパさんが三世の不当は評価に自身を重ねたのは言うに及ばす.さらにはその遺骨発見後にまるで自分の功績のように語るレスター大学は,まさに簒奪者そのものでございまして,脚本の多層構造が実に心地ようございました.
さらには初めてリチャード三世協会の会合に参加し大いに語り合う姿は,学校で誰からも理解されない趣味をお持ちの中学生が,初めて同好会に参加した時のような輝きがございました.そう,本作はある意味,最終目的を果たす事ができたヲタク女性のサクセスストーリーでもございます.小学生の前で講演するフィリッパさんの最高の笑顔を観て,初めて高座にあがった日の事を思い出した呼延灼でございました.
案外と,徳川埋蔵金も獣も通わぬような山中にあるのではなく,皇居のお濠にあったりするかもしれませんぞ!