るるびっち

ロスト・キング 500年越しの運命のるるびっちのレビュー・感想・評価

3.9
名誉回復の話。回復するのは、王と彼を発掘した女性。
二人とも障害を持ち、社会から排除されている。
シェイクスピアという時代を超えたインフルエンサーの、ステマ広告的芝居のせいで極悪人の印象をつけられたリチャード三世。

歴史は勝者側の都合の良いように書き換えられる。
シェイクスピアのパトロンは勝ち組の国王側なので、負け組を悪役にするのは当然だ。
歴史的事実は関係ない。スポンサーよいしょに過ぎない。

そんな世渡り作品も、シェイクスピアが権威化すると真実になる。
時間が真相を謎にし、学者バカが常識という思考停止に陥る。
データーだのエビデンスだの言う学者ほど騙される。
そのデーターが勝ち組による改ざんだと、子供でも察しが付くのに理解しない。権威を盲信する。だから学者バカと呼ばれるのだ。

反論する主人公は感情的になるな、科学的で常識的な答えが出ていると叩かれる。
度々、感情的にならぬようにと、社会でも家庭でも支援する連中にも指摘されるが、最終的には彼女の感情と直感が勝利を得る。
皆が否定した感情と直感こそ、偉大な発見に必要なことだったのだ。
500年ぶりにリチャード三世の名誉は回復される。

探される王と探す主人公。
二人は似た境遇だ。他人に理解されない病気を持ち、社会から不条理に排除されている。
彼女が王に共感するのは、自分と境遇を重ねたからだろう。
リチャードが王位を奪われ汚名を着せられたように、主人公も王墓発見の名誉を大学側に奪われる。
皮肉にも500年前と同じことが繰り返されるのだ。
ただ、今回は名誉挽回に500年もの月日は掛からなかったようだ。

こうしたことは、今この瞬間も繰り返されている。
シェイクスピア同様に影響力のあるインフルエンサーたちが、正解かのようにSNS上で多くのことを発信している。
「ワクチンは安全です」
「インボイスは公平な税制度です」
「マイナンバーカードが日本のデジタル化には必要です」
著名なインフルエンサーの発言が正しいと限らないのは、本作で数多の学者やシェイクスピアの存在が証明している。
彼らが上げるデータやエビデンスや著作は、儲けたい勝ち組連中が作った恣意的な物だ。偉い学者ほどそれらを盲信する。学者バカとはそういうものだ。木を見て森を見ぬように、細かいデーターを見て現実を見ていないのだ。全て映画が証明している。

正しいことの証明に500年掛かったように、彼らの無責任な発言が改められるのには、あと何年掛かるのだろうか?
この話は遠いイギリスの話でも、500年前の歴史の話でもない。
今現在我々の身近で起こっていることであり、不当に排除された人たちが今も多く居て、彼らの小さな声を聞かない態度が災いをもたらすかもしれないのだ。
この数年でテレビが垂れ流す常識が果たして真実か否かは、各々が発掘調査をしないといけないであろう。
今こそ直感を信じて感情的に動くべきだ。
科学とデーターと常識を持ち出す奴ほど、イカサマ師が多いのである。
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