ないで

ロスト・キング 500年越しの運命のないでのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

プランタジネット朝最後の君主リチャード三世の名誉回復に取り憑かれた女性が、執念で彼の墓を見つけ出した実話を元にしたストーリー

リチャード三世が伝わっているような悪人ではない説は以前から唱えられているのですが、シェイクスピアの『リチャード三世』が悪辣過ぎる事もあって、イギリスでのパブリックイメージは現在でも相当悪いらしい。ヒロインのフィリパは観劇中に「本当の彼はこんなじゃない」という強烈な思いに取り憑かれて、仕事も家事も手につかなくなってしまう。

報われない自身の境遇と重なって、突然啓示を受けたように誤解されたままの不遇の人物と繋がってしまうフィリパの状況は分かる気がします。そして完全に取り憑かれてしまった彼女に「君は幽霊と浮気中だ」って涙目になる元夫の気持ちもよく分かる。それでも結局、腹を括って彼女を支えてくれるよい家族なのでした。人間ドラマとしては単純ですが、彼女の直感通り駐車場の「R」の字の下から遺骨が出てきたという事実が何より奇跡的で、小手先のドラマなど必要なかったということかも知れません。

フィリパの前に現れるリチャード三世役が『ゲーム・オブ・スローンズ』でデナーリスの奇矯な兄を演じていたハリー・ロイドで、彼の起用がすごくはまっていました。お茶目な笑顔が見られて良かった。発掘の道をつけてくれる議員役で『シャーロック』のアマンダ・アビントンが出演していたのも心憎かったです。世間はベネ様の朗読を求めるかも知れないけど、こっちだってアマンダが笑顔で見守ってくれてるんですよ、きっと。
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