踝踵

機動戦士ガンダムSEED FREEDOMの踝踵のネタバレレビュー・内容・結末

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

良い部分と悪い部分が両方とも振り切ってて甲乙つけ難い。でもとてもガンダムSEEDらしい映画だったと思うし、ここまで振り切らないと小さくまとまった内容になってしまっていたのでは、とも想像している。

そんな感想がぐるぐる回る映画だった。
一つ確実なのは、ネタバレを極力避けつつ可及的速やかに見れて正解だった。


【良い部分】
・ラクスの「必要だから愛しているのではなく、愛しているから必要なのです」はいい台詞ではある。が、どうしても綺麗事の域を出きれていない印象はある。そんな理屈を言われても、ナチュラルとコーディネーターの溝を埋めるインパクトを生まなさそうな気がする。それでも圧倒されるのは声優の力があってこそとも思う。

・テレビ版以上にキャラクターの表情や声色が豊かで想像が膨らむ。映画冒頭でシュラの稽古を受けようとしたシンを、キラが止めようとした時、ムゥが「やらせてみろ」とキラに諭す。その台詞からムゥはシンがどのような扱いをして欲しいか、キラに何と言って欲しいか、をよく理解しているように感じられて、尊い。

・SEEDファンが見たかったものが潤沢にありつつ、ただのファンサービスに終わらせないという気概もちゃんとあった。デュエルとバスターを出したのめちゃくちゃ偉い。多くの人がデスティニーで見たかった演出だったのではないだろうか。

・アスランが画面に映っている時は常に面白い。ネタ含めて、ネタ抜きで、キャラ的にも、物語的にも、全部面白いのズルすぎるだろ。改めて好きなキャラになった。

・シンが強くて可愛くてかっこいい。お前は犬か。「前はジャスティスだったから負けたんだ」の台詞が出た時、劇場は爆笑で包まれてた。アグネスにネチネチ言われていた時のクシャクシャの負け顔の作画がかなり気合い入っていて印象に残った。

・相変わらずモブの扱いがとても厳しくて良い。


【悪い部分】
・SEEDあるあるだが、敵がどうしても「やられる前提のサンドバッグ」として演出されすぎていて、負け顔が想像通りすぎて冷めてしまった。ブースデッドマン達のように愛嬌があればいいのだけど尺的に難しいのだろう。

・終盤でキラは主体的に誰かに助けを呼んだり誰かを頼ったりする事があまりなく、結局ラクスに受け身で助けてもらっている姿にあまり成長を感じられなかった。アスランがキラの根性を叩き直す時に「聞いてみなよ、助けを呼べよ」と呼びかけてキラの主体性を引き出そうとするのだが、ここがものすごく心が熱くなるようなシーンで良かった。それがもっと活きるようなシーンが終盤にもっとあればと思ってしまった。
スーパーコーディーターであるキラはスペックおばけの完璧人間だからそもそも人に頼ることは少なく、自分で抱え込んでしまう。その最たるセリフが「君たちが弱いから!」で、彼の考えが残酷なほど伝わる。そんな彼が誰かを頼ることはかなり意味があって、もっとそういうシーンが欲しかった。シンに「頼む」と言ったシーンはものすごく良かったが、もっとそういうキラが欲しい。

・終盤のコンパスチームの無敵モードはかっこいいけど、強すぎて正直困惑した。でもこれくらいぶっ飛んでいないと、枠から大きくはみ出ないと面白くないのかもしれないとも思う。悩む。
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