島晃一

機動戦士ガンダムSEED FREEDOMの島晃一のレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)
2.5
編集のリズムが中盤あたりからどんどん加速していって、あらゆるテンポが速くなる。最後には高速戦闘もオマージュもギャグも一気に詰め込まれ20年溜め込んだものが最後に爆発するようなお祭り感があった。

それゆえ前半と後半で違う映画のような印象さえ受けた。戦闘が加速していくのはテレビシリーズの終盤の醍醐味でもあるのでいいのだが、ドラマパートや登場人物の感情の変化までも速くなっていくのは、評価しにくい部分ではある。

そのSEED的な高速戦闘よりも、序盤の市街地戦、遮蔽を使った戦闘を少し引いて映したカットやキラ達の出撃での細かい挙動が素晴らしく、ここに映画館の大画面で見る意義を感じた。

また、背景描写にも惹きつけられた。たとえば、キラとラクスが住むモダンな邸宅、2人が過ごす空間の美しさは映画ならではだ。ちなみにその空間にはやたらと存在感のあるバイクが並んでいる。ゴールドウイングとHAWK11だ。クレジットには「バイク協力」として本田技研株式会社の名前も確認できた。バイクは2人の関係性の暗示だと思われる。

そうしたあらゆる記号、オマージュを読み解くのに何回も見ないといけないような仕掛けがなされていたこと含め、これは従来のファンに向けられた作品だと感じた。
島晃一

島晃一