あり

機動戦士ガンダムSEED FREEDOMのありのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)
3.5
 「ガンダム」シリーズ自体、45年という長い歴史を持つコンテンツであるが、その中でもこの「ガンダムSEED」は高い人気を誇る作品である。なんと20年ぶりの続編というから驚きである。それだけ根強いファンに支えられているということだろう。

 かくいう自分もリアルタイムでは視聴していなかったのだが、後追いで鑑賞した口である。個性的なキャラクター、ドラマチックで重厚な物語、いわゆるファースト・ガンダムのテイストも感じられ、まさしくこれは平成時代におけるガンダムシリーズの代表作という感じがした。今回の新作もその時の感動が失われることなく、最後まで面白く観ることが出来た。

 但し、TVシリーズを観たことがない人にとっては、かなりハードルが高い作品である。当然のことながらここに至るまでには様々なドラマがあるわけだが、映画内ではいちいちそのあたりのことを説明してくれない。あくまで予備知識を持ったファンを前提とした作品であり、間違っても初見で挑もうなどと思わない方が良い。

 さて、本シリーズの売りは重厚なドラマもさることながら、美形キャラ同士の絡み、激しい戦闘シーン。このあたりにあるように思う。
 メインスタッフ、キャスト共にほぼ当時のメンバーが揃っており、テイスト自体は引き継がれている。前作、前々作を観ていたい人ならすんなりと入り込めるのではないだろうか。

 物語はキラやアスラン、ラクス、シンといったお馴染みのキャラを中心に、コーディネーター対ナチュラルの対立が引き続き描かれている。夫々に運命に翻弄されながらドラマチックな顛末を迎えていく。
 テレビシリーズと違い2時間という短い尺なので、あちらを立てればこちらが立たず、観てて少し歯がゆくなる部分もあったが、基本的に今回はキラとラスクの関係をメインに据えることでドラマに1本芯が通ったように思う。

 そして、今回の適役はオルフェという新キャラである。これも過去のテレビシリーズを観てきた人なら、なるほどと思えるチョイスではないだろうか。もっとも、彼の主義主張はこれまでの適役と同じことの繰り返しで、物語的な発展が余り感じられなかったのは残念である。せっかくの完全新作なのだから、このあたりのアップデートは正直欲しい所だった。

 映像については、戦闘シーンについては文句なく素晴らしかった。序盤の地上戦はモビルスーツの重量感に圧倒されたし、後半から宇宙を舞台に更に迫力のある戦闘が繰り広げられる。動体視力限界突端なモビルスーツ同士の戦いは流石にやり過ぎという気がしなくもないが、このあたりは映画館のスクリーンよりもテレビの画面の方が適しているような気がした。

 また、前作、前々作や過去のガンダム作品のオマージュが幾つか見つかり、この辺りにもニヤリとさせられた。

 敢えてギャグとして演出しているような箇所もあり、個人的には笑い所に事欠かない作品でもあった。
あり

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