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殺しの分け前/ポイント・ブランクのtjZeroのレビュー・感想・評価

3.9
突然ですが、現役の俳優だとカート・ラッセルが出ている作品って、ハズレが少ない気がします。あくまで個人的な感覚ですが…。

過去の役者だとこの人ですねえ、リー・マーヴィン。つまらない作品に出会った事ない。
ご本人の作品選びが適確なのか、いい企画を呼びよせる資質を持っているのか…おそらく両方だと思いますが、いつもお代の分はキッチリ楽しませてくれます。

本作もおつりまで戻ってきそうな快作でした。
監督は『脱出』のジョン・ブアマン、彼の出世作でもあります。

原作はリチャード・スタークの”悪党パーカー”シリーズの第1作『人狩り』。
このシリーズは登場人物たちの内面をまったく描写せずに、行動だけで描き切る究極のクライム・ノヴェルの連作です。

この映画は、そんな小説のハードボイルドの芯みたいなモノを巧くつかまえていると思います。
あくまで主役のマーヴィンの激烈な復讐に寄り添い、原題の”直射”そのままにグイグイと前に進んでいく。

バッサバッサと無駄ない展開に、「あれ、これ誰だっけ?」と人間関係が不明になっちゃう所もありますが、そんなこと考えているヒマもないほど直進していくので、観てる方は主人公と同化してカッカッと熱くなっていくばかり。基本、単純な復讐譚なので細かい所はわからなくても問題なし。

重要場面の舞台となるアルカトラズ刑務所のさびれたムードもよい。
サン・フランシスコってやっぱり絵になる都市ですね。
金門橋に長い坂…ロスもニューヨークも越えて、映画の舞台としてアメリカ最強だと思います。
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