マヒロ

殺しの分け前/ポイント・ブランクのマヒロのレビュー・感想・評価

3.0
相棒と女房に騙され、大金を奪われてしまった男が、その金を取り返すべく奔走する…というお話。

これだけだったら普通のお話なんだけど、この映画はどうも様子がおかしい。まずタイトルシーンからいきなり主人公(リー・マーヴィン)が撃たれるところから始まるんだけど、なぜか少しするとまた同じシーンが反復される。かと思うといきなりシーンがぶっ飛び、刑務所にいたはずの主人公がいつの間にか脱獄している…と、時間軸がおかしなことになっている。

一応序盤をすぎると時間経過は普通になるんだけど、今度は"色"がおかしくなってきて、主人公が自分を裏切った妻の元へ向かうと、なぜか画面上にあるものほとんどが白っぽくなる。突然色が変わるわけではなくて、着ている服や家具、壁などが全部同じような色に統一されているだけではあるんだけど、今まで普通の色彩だったはずの画面が突然白や灰色に染まるので、そのシーンだけ浮世離れして見える。その後も妻の姉妹の元に行くと今度は黄色に統一されたり、ギャングのいる部屋は緑色だったりと、物語に反してどこか不思議な印象を持たせる。

お話自体はリー・マーヴィンが金返せーとか言いながら暴れまわるだけなので、正直そんなにあっと言わせるものではないんだけど、話がダメならそれ以外のところでインパクト残してやる、という気概が感じられて、いろんな意味で面白かった。

(2015.212)
マヒロ

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