Maaview

神回のMaaviewのネタバレレビュー・内容・結末

神回(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

唯一相手と接点のあったであろう妄想に囚われて、想いが強すぎるあまりに自分でも気付かぬうちに繰り返してしまった、片想いこじらせ男の話、なのかねぇ。
いや、もしかしたら好きすぎるというより、好きだった時の出来事に固執してるだけなのかもしれない。
もはや、好きという感情ではなく、出来事に固執する自分に固執してしまったのかもしれない。
固執がループしてんのかい、という。
でも生涯独身の設定があるから、一途だったのか。

脳科学者とかだったら面白かったかも。
それこそ実験的なくだりがあったし。
しかしなぜ、消化器内科なのか笑

ああ、実験的なくだりって、罪悪感をおさめるための妄想なのか。


それにしても、前半に「タイムループ」じゃなくて「パラドックス」、後半に「ずっと一緒」を、それぞれ強調させてたのは、「もし実行委員を僕がやれていたら」という限定的・瞬間的な青春の一部分に固執してしまったが故に、彼女にそれを訴えて、二人で居ようねって言い聞かせたかったのに、彼女はそれを感じ取ってくれないから、悶えて繰り返していたってことなのかねぇ。

突っ込みどころが多くて、分かりやすいはずなのに、難解とかじゃなくて、「ややこしい」。
主人公のこじらせ方と同じくらい、監督・脚本した中村さんの頭の中がややこしいんかねぇ。

育ててくれてありがとう甥っ子夫婦の挟み方から、最期のお見送り涙も共感のきょの字も感じさせない風なのに、音楽と演出の壮大さで、さも重要性を持たせたかのよう。

なんというか、演劇を見てるかのような。
演出?切り替え?演技?劇の方が合いそうな。

もっと圧縮したら良かったのか、何かを足したら良かったのか分からんけど、ショートフィルムの方が合いそう。


劇中で1回目の目覚めの時に主人公の左肘が赤くなってたけど、しばらくしてもしかして既に複数回繰り返してる?と思ったりもしたけど、あれは伏線的なやつ?それともミス?

冒頭の扇子をわざわざ出した謎、
あの国体教師のしつこさ、行けそうで行けない感じ、
生徒会の生徒たちの過剰な反応と過度な演技、
まるで夢の中にいるような感じ。

決め手は、痛いはずのシーンでも嗚咽やら痛い!っていうような台詞がない「痛みの無い世界観」。

過去と片想いに囚われた男の夢現。
感情を読み取らせない男の分かりやすくて、ややこしい恋物語。
好きな人の隣で最期を迎えた「(僕の)神回」。


最初は主人公のテンポと女々しさに、なんじゃこの作品、ループへの意気込みみたいなん無いんかこいつ、と半ば呆れて観てたけど、物語が進むうちに妄想物語だと気付いてからは、なんというか、楽しむより見守り、鑑賞というより傍観、そんな風になった作品だった。
悪くはないかなと。良し悪しとかじゃなく、フワフワと記憶に残った。

いや、白髪発見してからの老け速度、速すぎィィ。
と思ったけど、それも「受け入れた」ことで時間軸が進んだ、みたいな感じなんだろうなぁ。

それにしてもキャッチコピーですけどね、「新感覚」と付けりゃジャンル的に許されると思ったら、小間違えですよ。
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