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全身小説家の346のレビュー・感想・評価

全身小説家(1994年製作の映画)
3.5
ようやく、全身小説家を観た。あまりに打ちひしがれて、久しぶりに鬱になって日曜まるまる沈んでた。嘘つきみっちゃんこと井上光晴。朗々と自分を語り、戯けたり、罵倒したり、女を籠絡したり、寂聴に愛されたり、人たらしの権化みたい。それでも彼は誰とも繋がれなかったんじゃないだろうか…。何もなくなっていく、彼の顔が怖い。積み上げた人間の顔としては、深さがなくて怖い。

「言葉には相手のための言葉と、自分のための言葉がある。その2つが合致しないと説得力はうまれない」という井上光晴の言葉に大きく頷く。
だから、彼の嘘には説得力があるのだろうな。
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