クラウドアトラスみやちゃん

の方へ、流れるのクラウドアトラスみやちゃんのレビュー・感想・評価

の方へ、流れる(2021年製作の映画)
3.8
【はじめに】唐田えりか、3年ぶりの長編作。若手人気俳優との不倫が問題視され徹底的にバッシングを受け実質的に芸能活動が閉ざされていた彼女。
当時の不倫の相手である若手人気俳優は既に表舞台に立ち邦画の大作にも出演しているのに対し、彼女の芸能活動は封印されたままだった。
しかし彼女は本作のオーディションでなんとか主役の里子をもぎ取って芸能界に復帰を果たした。
「寝ても覚めても」の朝子の衝撃を多くの人は忘れることができない。もちろん、わたしもその一人だった。
人の記憶に忘れえぬ爪痕を残すことができるのは役者として類稀な才能である。そんな彼女の才能を善悪だけのメジャーで未来永劫、閉ざして良いのか。
わたしは『否』と思い、公開初日朝イチの舞台挨拶に行くことにし、池袋シネマ・ロサに向かったのだった。

【感想】唐田えりかは健在だった。最初のカットはバスの中のシーンで吊り革と彼女の手、その後に顔が映るのだが、その瞬間とんでもない衝撃を受けた。正に朝子がスクリーンに存在していたのだった。
唐田えりかは唯一無二の存在だということをファーストカットで思い知らされる。
この役者はやはりなくてはならないのだと。
(唐田えりかを封印してはならないと)
「寝ても覚めても」が好きな人は騙されたと思って観に行って欲しい。ファーストカットの衝撃たるや、今年を振り返っても1番の衝撃だったので!

基本的には本作は会話劇で、本作の97.8%が里子とある男の会話で占められている。逆に言うとそれしかない。でも、飽きることはなく刺激的な里子の短剣のような台詞が心に突き刺さる。

最初から最後までミステリアスな里子。真実はどこにあるのか。
真実は観客に委ねられている。

【あらすじ】里美は姉の営む雑貨店で姉の都合が付かない時だけ店番をしている。
姉が沖縄に旅行に行き、彼女が店番をしている時、店に恋人と待ち合わせしているエンジニアの男がやってくる。2人はふとしたきっかけで、店を出て清澄白河の川沿いの街を歩きながら語り合うことになる。よく知らない相手だからこそ、言えることもある2人。互いに話していることが事実なのか分からないまま、2人は徐々にひかれあっていくのだが…

【キャスト】思ったことを素直に口にしているようで、どこか本音がつかめない里美を「寝ても覚めても」の唐田えりか。ミステリアスな里美に戸惑いながらもひかれていく智徳役を「ONODA 一万夜を越えて」の遠藤雄弥。

【監督】「蜃気楼の舟」「ふたつのシルエット」などで注目される新鋭・竹馬靖具