おーき

ヒトラーのための虐殺会議のおーきのレビュー・感想・評価

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
4.0
・そもそも、ユダヤ人に対する差別政策は1930年代から始まり、本作の元となる「ヴァンゼー会議」は1942年1月20日に行われている。そういった時代背景があるため、ユダヤ人に対する差別政策がさも当然のことのような空気感であり、発言の節々にそういった侮蔑のニュアンスの言葉が用いられている。
・「移動」させる住民には署名させる、など戦時中で、かつ、上記差別政策が行われている中でもそういった法的遵守は意識していたのか、という驚き
・立場やポリシーによって発言の趣旨が変わる、発言ではきれいな言葉で表現されつつも実際のところはこうだよねって休憩中に愚痴にしつつ会議の場では発言しない参加者の存在、また、結局のところ結論ありきで主催者の意図のとおり会議が進み、合意のニュアンスで会議が終わる、など社会人として思うところが多々あった。こういう会議ってあるよね。。。
・非常に地味な映画。ただ、目線や表情の変化の機微、立ち振る舞いが印象的で目を離せない。
・(もし認識が間違っていればご指摘ください。。。)正当化しない、肯定しない事実を描いた作品だと思われる。こういった作品が日本でも増えれば良いのだが、とは思うが書類焼却やなんやかんやあるため難しいのだろうな、という認識。こういった戦後の反省?振り返り?はドイツが先を進んでいるような印象。
・時代背景があるとはいえ、現代からすれば狂気的な雰囲気で延々と会議が進むので正直見終わった後はぐったりした。ただ、そういった雰囲気に徹底された映画だからこそ色々と感じることがあり、当時のドイツの状況や参加者の立場をきっちり把握した上で改めて観たい作品だと思った。
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