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正欲のごはんのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
5.0
普通じゃないは誰かの普通なのかも。

常識は誰かの非常識だったり、当たり前は当たり前じゃなかったりみたいな感じで、
普通とは?という事を“欲”を通じて考えさせられる作品。

稲垣吾郎演じる寺井家の話、ガッキー磯村くんの話、それから大学生の話が展開し、それぞれが単体でもかなり見応えある内容故に途中までなんだかオムニバス感、分離してる感じがしてしまったが、徐々に話が繋がりを持ち始めていく感じはとても面白かった。

本作稲垣吾郎さん演じる寺井が印象としては悪い感じに映り、いわゆる「普通」「みんなと同じ道から外れない事」を第一に考えている感じだけど。
正直それはそれで大事な事だとは思う。
まして親なら自分の子供が長い人生苦労しないようにと思ったら、できるだけ周りや自分の経験に近い道、いろんな人が歩んで来た道を行かせたくもなるでしょう。
それが古い考えで子どもの気持ちを尊重していないという見方もできるが…
そして世の中には悪魔のような人もいるのもそれも間違っていないと思うので基本的には寺井の意見はよくわかる気がする。
ただもうちょい子どもに対して向き合ったり、やりたい事に対しての条件を提示したりとかしたら良いのにとは思うけど。

一方でそんな普通大事人間からすれば薬指に指輪をしている。コロッケを2つ買って帰る。30歳過ぎくらいの女性。となればそれは普通分析だと結婚している主婦である!ということになるわけで、そんな普通判断によって少し救われた気持ちになれる人もいると言うのが面白いところでもあった。


ガッキーの死んだ目の表情はじめて見た気がするけど、こんな顔の女優さんだったっけ?って思うくらい死んでた…俳優ってすごい…

磯村くんは「月」で見たばかりなので、あのくらいの死んだ目はお手のものといった感じでさすが…


最後は普通という枠にいる難しさと、普通という枠を誰もが勝手に決めているという事、気がつけばだれもが普通の枠から弾き出されてしまうことそんな事を一気に思わされるラストでした。
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