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正欲のLODGEのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.0
「普通」って何なんだろう?

おやすみプンプンを読んだ時も同じ事を考えた。

その人にとっては普通でも他者からすると普通では無い。なんて事はよくある。
「常識」と言う言葉もそうである。

自分とは違うからと「異常」だと言ったり「非常識」だと排除してしまうのは簡単な事だ。でも、それを理解するのは難しい。認めるのも正直難しいと思う。

今回の様な誰にも迷惑を掛けないフェティシズムなら認めて良いと思う。誰しも好きな物や事があるからだ。

しかし、「パリ人肉事件」の様なカニバリズムや「神戸連続児童殺傷事件」の様な殺人や死姦で快楽を得たりする様な非人道的な物は絶対に認めてはいけない。
でも、それでしか自分の欲求を満たせない人もいる。

だから「多様性」とか言う便利な言葉でまとめて一括りに認めてしまうのは危険だと思う。そう言う非人道的な物まで「多様性」に括られてしまう。難しい。

今作で言うと稲垣吾郎の"昭和な考え"にも概ね同意。「今は時代が違うから」とか「新生人なんだから」とか「将来に繋がる」とか無理矢理納得させようとしている感がやっぱり否めない。

小学生は学校に行くべきだしYouTubeも否定するつもりは無いが学校に行きつつやれば良い。引きこもりだった息子が「YouTubeをやっている時はイキイキしている」とか「救われた」とか山田真歩が言っていたが、引きこもりを治す方法は他に無いのか?そもそも今までの家庭環境が良かったのか?そこまで考えていない様に思えた。それは甘やかしなのでは無いか?と。

だからと言って先程も言った様にYouTubeを全否定するつもりはない。いじめられたりしているなら無理に学校に行く必要も無いと思う。稲垣吾郎の考えも古臭いなあとも思う。

でも、「時代が違うから」と全てを認めるのも違うと思う。

色んな人や自分を振り返ってみてもやっぱり「厳しく育ててくれてありがとう」と両親に対して思う。と同時に「自分が必要とされてる」「愛されている」と思わせてくれてありがとうとも思う。あの時は鬱陶しくて嫌だったが今になって振り返るとそう思う。

しかしこれも結局、自分の中での「普通」なので他者からすると「普通」では無いのかもしれない。

原作は「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウ。監督は寺山修司原作の「あゝ、荒野」も監督した岸善幸。前情報無しにそれだけで観たけど原作を読みたくなった。もっと理解したいと思った。原作の言いたい事の何割がこの映画に詰まっているのだろう?全て言い切れて無いんじゃないか?そんな風に思う。
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