監督 岸善幸（前科者）
静かだけど鋭利なナイフのようなラストシーンからのVaundyの曲への流れが、サブイボがゾワッと来るくらい秀逸だったんだ。
テレビ番組制作会社のテレビマンユニオンが製作委員会に入っているから、なんでだろう？と思っていたら、岸監督は同社の社長なのね。映画監督としても、良い打率で良作を生み出すなぁ。
なんと言っても華の無い新垣結衣が見どころだ。女性がなりたい顔No1の彼女のはずが、全く生気が無くて、あれ？同一人物？と思わせるくらい女性的な魅力が無い。男なんかよりも水に欲を感じてしまうんだから、そりゃそうか。人間の魅力は、内面から醸し出してくるものなんだなと実感させてくれるくらいの好演だったんだ。
僕はこれまで稲垣吾郎の演技が好きではなかったんだけど、今回はなんか丁度良いし、闇の深い青年を演らせたらNo1の磯村優斗は安定感ある。トラウマを抱え生きづらさの渦中にいる女子大生を演じた東野絢香にもグッときたんだ。
この作品は、多様性を認めようなんて耳障りの良いフレーズを伝播しようとしている作品ではない。お前の思っている当たり前の正しい生き方は、本当にお前を幸せにするの？と問いてくる作品なんだ。
