チャチャのパパ

正欲のチャチャのパパのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.1
お前何嘘ついてんだよ!テメェだけ捕まれ!

朝井リョウ原作で「前科者」の監督さんと言うことでこれは見逃せないな!で観てきた。でもってやはり深い内容であった。

フェティシズムについて、僕は知ってるつもりだったが、今作を通じて自分の浅い理解を思い知らされた。

主な主人公は多分、磯村勇斗とガッキー。2人ともどうやら社会不適合なのを何とか隠しながら、息を潜めて生きている、というのが説明セリフなしに分かるように出来てるところからも、今作が相当の良作だと言うことが伝わる。

さらにもう1人の登場人物。大学生の大也。コレに何だかコミュ症っぽい八重子はノンケだが大也が気になってる。

後もう1人忘れてならない吾郎ちゃん。検事の様でちょっとステレオタイプだが、もうガチガチの“良識派”。

まずは広島で同じ性向を抱えていた両人は偶然にも同じ中学校で“出会って”しまった。最初は恋愛感情なのかと思ってたので「2人でプール行けば幸福だろう」とか簡単に思っててごめんなさい。そんなもんじゃ済まないのがこの2人の“性向”だ。

同じ性向だったのがイケメン大学生のはずの大也。でも、八重子はどうやら彼の何かに気づいて惹かれていく。

吾郎ちゃんは小学生の息子が不登校で、困った母親がユタボンみたいな事させようとして眉を顰める。

通常なら全く交わらないこの人たちが偶然にも何やかんやあって絡むのだが・・・

「フェチ」というのは色々あるが、その趣向故に性欲のような根源的な欲求までもが、欠けてしまうというのはまさに作中に出てくるような「地球に留学している」状態なのだろう。

「多様性」だの「ダイバーシティ」だのと宣う輩の多い昨今であるが、そう言った人達はコレを観てどう思うのだろう?