世の中に溢れる「普通」って何なのか考えさせられる。
「生きづらさ」というには軽すぎる、それぞれ特殊な性癖を持ちながら明日死んでも構わないような、ただ今日を生きている人たちの話。
劇中でも「LGBTQを分かったふうにダンス表現するために、やりたくないこと(ダンス)をさせるのは間違ってる」的なことを諸橋が言ってた。当事者以外が本質を掴むのは本当に難しいことなのに、何かをやった(気になる)ことで理解した風を示したいみたいな。
それと、たいがいは「ありえない」で片付けられてしまう「普通じゃない」こと。
そんな中、一番「普通」を象徴するかのような寺井(稲垣吾郎)だけど、息子の不登校、配信、フェチなどに理解を示さず偏見を持っているような検事。
結局そんな「普通」の価値観を持った人にブーメランが刺さる。宇野祥平が対照的でよかったな。
※以下、役者名を先に、カッコ書きが役名
磯村勇斗(佐々木)は本当に色々な役をこなしますね！キャラのイメージがひとつに凝り固まっていないからどんな役でも柔軟にスッと入ってくる。
新垣結衣(桐生夏月)ガッキーの死んだ魚のような目、表情が素晴らしかった。分かりあえる者同士でいることで、佐々木との生活では表情が柔らかくなってたのが印象的。
佐藤賢太(諸橋)の目ヂカラすごっ！ダンスのキレすごっ！と調べたら劇団EXILEだそうで。寡黙なのに溢れるものがあってすごかった。とばっちりは本当に悲劇。
東野絢香(八重子)、彼女のトラウマが一番救われないような気がしたが演技がすごい。本作がスクリーンデビューらしいが1〜2クール前のドラマ『CODE』に出ていて…あの、臼田あさみの同僚！？印象全然違う。役者ー！
大学のシーンで、諸橋が少しだけ心を開いてくれたのがよかった。。
後半の展開、繊細な佐々木と諸橋が繋がったのはよかったが、矢田部のせいで芋づる式に、とんだとばっちり。けど動画のコメント欄、SNSの関係ってそういう危険な一面も持ってる。世の中そんなに上手くいかないということか…。矢田部！クソ野郎！
ラスト、稲垣吾郎とガッキーのシーンで息を呑む。エンドロールで余韻のように涙が溢れ出てきた。
「いなくならないから」
