多様性とかダイバーシティとか、そんな言葉が頻繁に飛び交うようになった現代であっても、人はどうしても他人を知っているものの枠に収めたいのだと思う。知っている枠からはみ出る存在は理解ができなくて、怖いから。
子育ての普通、性的指向の普通も同じ。学校に行かずに動画を撮る子育て方法は知らないし、人間ではないものに対して指向をもつ存在も知らない。知らないから、理解できないから、既存の枠に収めようとする。小児性愛という知っている枠に押し込もうとする寺井もそう。
それでも、共感されない中で誰かとつながっていたいのはみんな同じなんだと思った。
ただ、私は理解の限界について考える。どんな指向でも、例えばどんな宗教や文化でも良いじゃないかと思う反面、どこまで私は共感できるだろうか。理解できるだろうか。恐怖を感じずにいられるだろうか。
多様性って「男っぽいダンスを女性が踊ってみたらダイバーシティっぽい」なんてそれっぽいことをして理解し合えるようなそんな簡単なものではなく、想像するよりもっともっと難しいことなんじゃないだろうか。そんなことを考えさせられる映画でした。
