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正欲のseaのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

ものすごく、本当にものすごく不思議な映画だった。存在してはいけない感情や感覚はないと思うし、そういう共感できないものも理解しようとはお互いが努めるべき世の中になってきている、というのはわかるけれど、それを描こうとしている映画という形で観ると、自分にはハマらないかなと思ってしまった。やはりどこか冷めた目で観てしまっていた。

恐らくハマらないと思いながら映画を観ていた私は、そこまで肩身の狭い思いをしたことがなく、ある意味人々のマジョリティー側にいるのかもしれないと思った。

学校に行かない子供のYouTuberの件も、夏月の職場の先輩が子供について話す場面も、常識ってこうだよねのわかりやすい演出を押し付けている感じに見えてしまって、言葉が悪いけれどしょうもないなと思いながら観てしまった。なんかすごく浅く見えた。

「普通」なんて人によって違うけれど、誰よりも普通に拘っていた寺井が、奥さんと子供が家を出て行ってしまうという、寺井にとっての普通ではない状況にいて。その状況で伝言として「普通のことです、いなくならないから、って」と言った夏月の台詞が、とても印象に残った。結局人生って分かり合える人がいるかいないかだなーと。
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