ガルベス

正欲のガルベスのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.3
〝普通”とされる多数派と同じ欲望を抱けず、悶々とした日々を送らざるを得ない人々が主な登場人物。

新垣結衣はこれまでのイメージを覆すような燻りキャラで、同級生の結婚式での居心地の悪さだったり職場の同僚への悪態だったりと意外性のある存在感を発揮。

黒沢清作品の演者的佇まいの磯村勇斗やデリカシーのない感じの渡辺大知あたりの演技も素晴らしかったが、多数派の価値観を内面化させた稲垣吾郎の空洞っぷりがMVP。

全く関心がないセックスと言うものを一応してみようという二人のシーンにハッと気付かされるものがあったし、本来なら人それぞれに幸福の形があるのに、それが蔑ろにされてしまう世間の圧力のようなものがそこかしこにあるんだよなと思わされた。
多数派に合わせていたら幸せなのか、自分の生理に従っていれば幸せなのか、どちらとも分からぬ問いを促される傑作。
ガルベス

ガルベス