Jack05

正欲のJack05のネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

"多様性" "ダイバーシティ""LGBTQ”というワードが飛び交う今の時代に、マイノリティというトピックを今までにない形で描いた素晴らしい作品。
みんな多様性を考えようとは口にするものの、そうしてる自分が好きなだけで本質的にマイノリティの人を考えられていないと気付かされた。
普通という器から溢れただけで、卑屈で孤独になっていってしまう、ならざるを得ないというのは大衆的な感覚を持った我々が想像するのはとても難しい。「地球に留学しているような感覚」という主人公の言葉がとても印象的で、社会に溶け込むことを諦め、マイノリティであることを重く受け止めていることが伺えるセリフだった。マイノリティであることの絶望は彼らにしか理解することはできないし、それを安易に理解したつもりになるのは彼らに対する攻撃になりうると思った。
作品では男性恐怖症、小児性愛者、子供YouTuberなどいわゆるマイノリティが中心となりストーリーが展開され、稲垣吾郎演じる寺井がマジョリティを演じるわけだが、物語を見ている側からすると徐々に寺井がマイノリティに見えてきて不思議な気持ちになった。
特に物語の中であった「もう貴方みたいな人に出会えないと思うから」「あってはならない感情なんてこの世にない」という言葉が印象的だった。この物語を見る前のように安易に多様性について口を開くのはやめようと思った。


【評価詳細】
展開 関心度speed 0.7点
おもしろさ fun 0.7点
設定 構成 story 0.8点
映像音楽 art 0.7点
好みlike 0.7点
Jack05

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