このレビューはネタバレを含みます
「普通」とは。正しい欲とは。
普通ではないことに生きづらさを感じて苦しむ人の映画。
「普通」ってなんなんだろうな、と改めて思った。
私自身はたぶん、「普通」の人間に近い属性の人間なんだと思う。でも「普通」が苦しいと感じる部分もある。きっとみんな多かれ少なかれそうなんだと思うけど、ここで特にスポットが当たるのは「性欲」。
そういう意味では「普通」。「多様性」って耳障りのいい言葉だけど、認められるものと認められないものがある。それは果たして多様性なのか?
「水」にフェティシズムを感じるってすごいな…と思うけど、もはやなんでもありな時代なのでそういう人もいるんだろうな…
それこそ単に好きでいるだけなら自由。でも劇中に出てきたような小児性愛、のような話になると好きなだけなら問題ない、とは言えないのが難しいところ。
でも、それ以外の部分に関しては彼らの周りの人に対して抱えてるもの、居た堪れなくなる場面、こちらまで苦しくなった。神戸さんと特に桐生さん、水のくだり以外自分の話みたいにきつい。いやあんなに家や職場で苦しんでないけど。笑
特殊性癖持ってなくてもあるあるの瞬間。
そういう言動を表に出す人って、一昔前よりはずっと少ないと思うんだけど、少なからずいるから嫌になる。関わりたくないのにこっちにやってくるんだよなそういう人は…
でも、恋愛じゃなくても人との繋がりってやっぱりあったら嬉しい。無いよりは。
自分を肯定してくれる、とまではいかなくても否定しない、そんな人と繋がりがあるってどんなに心強いか。安心できるか。一人って自由で気楽だけど、補えない何かがある。逆も然りだけど。
しかしなあ…佐々木くんと桐生さんが横浜で暮らし始めてやっと心安らげるようになったのに、もう最悪だよ、、、「他にも指向はある」ってやつでもうダメだと思った。その予感は当たってしまった。
ぱっと見じゃわからないから困る。さらにそこに全く興味がないことを証明するのも難しいからそれも困る、、
私は人の親になったことがないから本当の意味での親の気持ちってわからないんだけど、自分がそうあれたら、そうありたい、と思うから、きっと親も「普通であれ」と全てに於いてではなくとも大なり小なり思っているんだと思う。
そこにある幸せもあるし、何よりそこから外れて生きていくって大変だから。
だから、寺井さん夫婦のすれ違いのようなものは自分の親にも感じさせたことがあるんじゃないかなあと思うし、自分が親になったとしたら出来れば「普通」に、って思ってしまうんだろうなあ。
でもそこにみんなが当てはまれるわけはなくて、当てはまれないだけですごく生きづらくなってしまうから、、自分の生きやすさを探しながら生きていくしかないんだよなあ…
これもずーっと積読になってるのでそろそろ読まなきゃなあ…