テーマも作風も、
とてもデリケートで繊細な映画だった。
私たちはかつてアブノーマルや異常性愛などと
レッテルを貼って葬ってきた。
まさに社会のバグ扱いである。
いまはマイノリティというレッテルに変わり
多少はましになってきた気もする。
だが、保守層の反発もあり、
本質的な部分はあまり変わっていない。
映画でも出てくるように、かたちだけが多い。
この映画はそういった多様性だとか人権だとか、
あるいはLGBTQとか、
そこばかりに目を向けていると見誤る。
重要なのは、セリフでも出てくるが、
そうではない人たちもいるのだ、ということ。
ある意味、「マイクロアグレッション」への
気づきの映画でもある。
そして、何よりこの映画の根幹にあるのは
強い愛のかたち。純愛。
もう出会えないかもしれない人がいる
何があってもいなくならない人がいる。
その大切さを教えてくれる。
そこに心動かされる。
新垣結衣と稲垣吾郎のキャスティングは
見事のひとこと。
その狙いと期待に2人は
こちらの想像以上に応えている。
あの役は本当にピュアじゃないとできないのかもしれない。
2人が激突するあのラストシーンは
いつまでも忘れられない。
今年いちばん感動した。