このレビューはネタバレを含みます
原作読了後、映画化を知り、ずっと楽しみにしていた作品。滑り込みでなんとか見れた。
キャスティングが自分の脳内と全く同じすぎて見てて気持ちが良かった。特にだいやは、想像通りすぎた。
原作では、最後もただただ鬱な気持ちになるような捉え方をしたけど、（何も救われない感じ）映画は、なつきが強くよしみちを待っているような、本当に小さな一筋の希望の光がさしているように感じた。2人の性行為のシーンで、なつきが「死んだカエルみたいだね」っていうところは好きだったので、しっかり映画にも残されてて良かった。実写化でよくある"ほとんどカット"みたいなのはなくて良かった。
なつきが、結婚してると思われて、いわゆる"普通"の擬態に成功したことに思わず笑みをこぼすあのシーンはすごく良かった。ずーっと死んだ目だったなつきが生きている気がした、だからこそ、よしみちが車で連れて行かれ、どんどんなつきから離れていくあのシーンはすごく切なくて、ただただ切なかった。
他の方の感想で、この映画では結局何も解決してない、みたいな感想があったけど、それが現実なんじゃないかと私は思う。この映画は、ハッピーエンドじゃないのが正解だと思う。この現実が存在することを、少しでも多くの人が知れればいいんじゃないか。ただ、これを見たからと言って、自分にできることなんて何もないし、何かしようと動くのもまた違うのかもしれない。でも、今、愛する人がいて、これからその人との子どもが産めるという可能性があることに、当たり前だと思っているこの日常に、感謝したい。自分が生きたいと思えるこの日常があることに。
