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正欲のvoyagerのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

寺井というキャラが、マイノリティを受け入れない価値観の持ち主であったと同時に、法と共にある検事という立場にいたのが絶妙。

小児性愛者による買春をきっかけに、寺井と佐々木らが対峙する。このシーンで、そもそも小児性愛は裁かれるべきで、水フェチなら(信じてもらえるなら)問題ない、と直感した自分に気づいた。この判断の基準はなんだったのか。子どもを好きになってはダメなのか?他人を傷つけたからダメなのか?傷つけるとはなんのことなのか?金の授受が伴う性交はなぜダメなのか?疑問は止まないが、社会的な答えは一応、「法」にあるのだろう。法でそう決まっているから。

価値観としての「普通」と検事という立場として「法」に縛られる寺井を通して、自分の中で思考停止への警鐘を鳴らさなければいけないと感じた。

ステレオタイプな「多様性」描写を越える(人種差別や同性愛にとどまらない)ことができるのは、ハイコンテクストな文化を持つ日本でこそだと思うから、よかった。
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