もちごろう

正欲のもちごろうのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

unextに上がっていたので早速鑑賞。ん〜マイノリティの苦悩というのは辛いものだと思うのですが、彼らの言う普通な世界とはなんだろうと思ってしまいました。

普通に生きているように見える人々もそれぞれが苦悩を抱えたり、もう明日来ないでくれ...と思う日があったり、生きてて良かったと思う日があったり、そこは普通で括れない人生があり、別に性癖などの有無で変わらないと思う。自分は誰にも理解されないと蓋をして世界を見て、卑屈になってしまうことが一番悲しいことだし、卑屈にならないで世界を広く見渡す努力や他を知る必要はあると思う(そういう卑屈にさせる社会があることは承知の上で)。

あとフェチと病的な性癖(自分や他人が困るレベルもの)は別物だと思うし、思想の自由はあるべきだけど、現実社会にはやはり社会通念や法律があるので、法に触れることはアウトだよなと思った。その辺の描かれ方が曖昧でもう少し納得感が欲しかったです。

例えば、水に性的興奮を覚える方々がいて、外でみんなで動画撮影したいっていう彼らの欲って、一般的な性欲の人に例えたら、複数人で集まって公の場で子どもも一緒にその行為をいたして、それを撮影するって感覚に近い気がして、そうだとしたら、やっぱり性癖だからと言って、なぜその方々はそれを正当化できるのか、それ自体がよく理解ができなかったです...アセクシャルで水大好きという話ならまだ分かりますが、本作では性的興奮を含むレベルの話だと思うので、困惑しかなかったです。

不登校のお母さんにも全く共感できず...学校は勉強だけでなくて、お金を稼ぐ能力を身につけるだけでなくて、人間関係や社会スキルを学ぶ目的もあると思うし...別の居場所を見つけるのは100%同意だし、息子の気持ち大事なのは分かるけど、それであの対応は短絡的ではというか、お母さんの安心のための行動にしか見えなくて、なんだかなでした。

群像的な構成で、一番良かったのは大学生の女の子。学生同士のやりとりが良かったし、問題を直視して行動して、偉いなと、幸あれ!!と思った。この世に同じ人間はいないわけで、ちゃんと考えを伝える、人の話や思いを聞くことの大切さを思い出しました。

と言うわけで、色々と考えさせられる作品であることは間違いなく、自分のものの見方を試される作品でした。アセクシャルな人たちが題材の作品も今後見てみたいなぁと思いました。
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