正欲のびんぼいくじパパのネタバレレビュー・内容・結末

よかった。当事者でないと理解しえない様々な感覚をもつ「異端者」たちを害のない水フェチという切り口でまとめた群像劇で終わるのかなと思いきや、それぞれがやっと築けそうな感じになってきた「平穏」が小児性愛者の行いに巻き込まれ、ぶっ壊されるというしょんぼり展開だった。

ところが夏月の「いなくならないから」という芯のある言葉。これこそ夫婦だし愛だと思った。
結局「普通」側のこちらがこの言葉で最後にぶちのめされるという素晴らしい作品だった。

多様な生き方が叫ばれてはいるが、結局お題目で終わってしまい、稲垣吾郎演じる検事のごとく、周囲に普通であることを強要して生きてしまっていることが多くなかろうかと自省をせずにはおられない作品だったと思う。

自分自身も社会になじめず、しかたなく起業した身なので普通でいられないことの苦しみは多少は理解できるような気もするけど、生きることに直結する欲や心の問題が普通と違う人の苦しみはきっと想像できないものなんだろうと思う。理解できなくても思いを馳せるきっかけを与えてもらったことに感謝したいと思った。