山田

正欲の山田のネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

普通という言葉の凶暴性とわかった気になることの危険性が伝わってきた。
ラストガッキーのキャラが吾郎さんのキャラに「(伝えたいのは)普通のことです。いなくならないよ」と伝えたことで、離婚調停中の吾郎さんのキャラはお前のところは異常だと伝えられたことになる、それが鈍感で普通が口癖の吾郎さんのキャラに絶妙に刺さるシーンになっているところからもやっぱり普通という言葉はものすごく凶暴だということを視聴者に伝えたいんだろうなと思った。

それからわかった気になることの危険性は、ダンスグループのリーダー的な女性がすごくよく出ていた。ゲイの人達が自分たちは存在しているということをアピールするために行ったパフォーマンスを当事者でない人間が上澄みをすくってやるのは文化の盗用で失礼なことなんだけど、本人はいいことしてる気になってしまうし自分は正しいと思っているから人にやりたくないダンスを押し付けたりしてしまうというシーンがよく表れていると思った。

あとテーマとは少しずれてるけど個人的にそれー!!ってなったのが、ミスコンのことをありえないと批判していたのに、ダイヤがミスターコンに出たことを嬉しそうに話し、本人が嫌がるのにネタにし続けているのが、完全によくある男性軽視でリアルだと思った。女性は男たちに性消費され批評されているという主張をよく耳にするけど、性消費とルッキズムって男性も晒されてるよね?っていう違和感。被害者は被害者でカテゴリー関係なくない?という違和感。もしも男性が評価の対象でないのなら抱かれたい男抱かれたくない男ランキングなんて作られない。出川さんは抱かれたくない男連続一位だねといじられていないと思う。そして性消費においても、旧ジャニーズ某グループのメンバーをぬいぐるみにした商品にペニスが描かれていてとても良い売れ行きだったと聞く。未成年のジュニアの子たちが半裸になってファンが喜ぶ。下ネタの書いてあるうちわをアイドルに見せて喜ぶ女性ファン。アイドルでもなんでもないスポーツ選手の男性に対するセクハラツイート、性消費的メディアの扱い。エトセトラ。そういったものをよく見かける。
っていう私が日ごろ抱えてる違和感も差し込まれていてそれー!!ってなった。そして男が女声を性的な目で見てるのが無理なの!っていったキャラクターがインスタにダイヤの写真をもっと載せろと捨て垢でいう。アイドルでもないのにそんな事書かれたら気持ち悪いよね?ってことを気づけていないのがジェンダロールの悪。男は性的なことをされたり性的な目で見られたら嬉しいでしょ?気にしないでしょ?というジェンダロールによる認知の歪み。
ジェンダロールは本当に女性蔑視で男性軽視なので本当になくなったほうが良い
山田

山田