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正欲のfumiのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

最終的にはけっこう良い映画だなと思ったけど、冒頭40分くらいはキツかったし、まだまだ時間あるじゃん!と思ってしまった。
入りの引きが弱いし、邦画全般の傾向かもしれないけど、テンポが悪い。テンポとかじゃない内容なのはわかるけど、だとしたら引きが弱いというか…。

新垣結衣が非常に良かった。
地方のイオンモールで働く覇気のない感じとか。運転しながら「死ねよ…!」とか言ってるの、自分かと思った。自暴自棄で車を暴走させるの、あの道で合ってる?死ぬ気ないじゃんってのは気になった。その後のあの夫婦のシーンはとてもかわいくて癒されたし、もっと観たかった。もう1人じゃないんだよね?と確認し合う様子が、いかに孤独だったのかを感じさせて、切ないけど嬉しいような、ほっこりした気持ちになれて好きだった。

大学生のパートがとにかくイラついたし、共感性羞恥みたいな、イーッ!ってなった。あの女の子のスピンオフ作ってくれ。あのままじゃいたたまれないじゃないか。

良い台詞がけっこうあった。
「この世界を生きていくために、手を組みませんか?」
「いなくならないから」
とか、うまいこと言う。

稲垣吾郎は偉そうなおじの役似合う。でもただ偉そうなだけじゃない、そのへんにいそうな生身さも出ていて良かったと思う。
奥さんが泣くシーンいらなかった。
泣かないでほしかった。
静かに呆れてほしいというか、そういう人の方が多いと思う。わかりやすさを取って、そういうディテールの安易さ、雑さはガッカリする。

邦画は始まりも終わりもなんだかダレる印象があるけど、終わり方が締まっていて良い気分で観終われた。あれからどんな展開になっても、桐生さんは佐々木くんを待っているはずという安心感がある。
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