よねっきー

ウィッシュのよねっきーのレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
4.4
最速試写会にて鑑賞。Filmarksさん、いつもありがと〜!!

ディズニーが100年の歴史をかけて築き上げてきた「エンタメの公式」の磐石さを再確認させられる。ディズニー製作の作品に共通して言えることだが、良くも悪くも「優等生的」だ。抜群に良いわけじゃないが、全体的な質はかなり高い。抑えなきゃいけないポイントもたしかに抑えている。しかし「100年もやってきたアニメ会社が、今こんなことでいいのか?」と思う部分もないわけではない。

2023年ってのはどうやらアニメ映画界にとって象徴的な年だったらしい。それはディズニーが100周年を迎えたから、というだけではない。アニメ映画界は今、映像革命の最中なのだ。
その歴史は2018年の『スパイダーマン:スパイダーバース』から決定的に始まる。2Dと3Dが混然一体となったあの映像を目撃して「ああ、アニメ映画はこの作品以前と以後に分かれるんだな」と確信したのは、おれだけではないはず。アカデミー賞の長編アニメーション部門は、例年CGの精度を高めていくディズニー作品が受賞するのが通例になっていたが、その年はやはり『スパイダーバース』に軍配が上がった。

日本で今年公開された『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』や『長ぐつをはいたネコと9つの命』や『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』などの作品群はどれも、明らかに先述の『スパイダーバース』の影響下にある。2023年は〈スパイダーバース以後〉が始まった年と言っていいのかもしれない。そしてそれは、今作『ウィッシュ』も例外ではないのだ。CGアニメは今、「よりリアルへ」から次の段階へと進むことを要求されている。

それを踏まえて『ウィッシュ』の映像について語るとすれば、ディズニーはアニメ界の映像革命に「やや遅刻している」と言わざるを得ない。
たしかに2D時代のアニメーションを意識した新しい表現は各所に見られたけど、競合他社は今、もっと派手にやっているのである。これではちょっと目立たない。
おれは『ウィッシュ』の予告編の、キャラクターを縁取る細い線を見て、期待していたのだ! 世界一のアニメ会社が今ここで、新たな映像の歴史を更新することを!

とまあ長々と文句を書きましたが、要は「映像は期待ほどではなかった」というだけのことです。おれの期待値が高すぎたかも知んないし。冒頭に書いた通り、基本的によくできてる映画だとは思います。

無言でもずっとかわいいスターの悪魔的なキュートさを鑑みると、言葉を与えられたばっかりにスベり続けてるバレンティノはキャラクターとしていらなかったんじゃないか、とか思うことは他にもないではないけど。まあそれはディズニー映画にままあることな気がする。ディズニーの築き上げた「エンタメの公式」は、更に洗練される余地があるかもしれないね。「優等生」を超えていけ。おれが122才くらいになった頃、200周年記念作品も観れるといいな。
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