ソラ

ウィッシュのソラのレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
5.0
ディズニー100周年の歴史の全てがここにある。一度でもディズニー映画を観たことある人には必ず観てほしい。ディズニーを深く知っていれば知っているほど楽しめる作品。Dオタの私の生涯見た中でも5本の指に入る傑作。

舞台は12世紀から13世紀のおそらく南ヨーロッパ。アーシャはヘブライ語で「希望」を意味する事からアラブ系だと思われる。アーシャの履いている靴は、19世紀に登場したオルセー・パンプス。プリンセスの衣装には、必ず新しいものを取り入れるこだわりもディズニー。

製作費300億円を投じ、元々ミッキーが魔法使いの弟子になる『ファンタジア』の前日譚として製作されていた。
字幕版のアーシャを務めるアリアナ・デボーズのキャスティングが決まっており、そこからアーシャが完成していった。
力強い歌声と表情の切り替わりが激しくて存外可愛かった。
『Wish』は夢と希望に満ちた王道のミュージカル映画。

字幕版と吹替版の両方を見たが、セリフのニュアンスが全く違う箇所があり字幕版の方がストーリーの浸透具合が高い。さらに歌声もアーシャの信念の強さを感じるアリアナ・デボーズを推したい。いずれにせよ、音楽が凄く良いのでDolbyでの鑑賞をオススメ。

ちなみに、アメリカでは評価及び興収が芳しくない。その背景には若者のディズニー離れや政治的理由によるボイコットがある。また、ポリコレに傾倒しすぎた点も取り沙汰されている。ウォルトの愛した世界は、変わりつつありそこに彼の願いはもう届かないのかもしれないと物悲しくなった。
日本でもこの作品を酷評する意見が多く見られる。人それぞれの感性や基準があるのだから文句はないがこれをゴミとは言わせない。

古き良き2Dセル画とヌルヌル動く3DCGを組み合わせた作画も綺麗。色彩が鮮やかでこだわりがちゃんと確認できる。

物語の展開は、王道で先も読みやすい。これまでの作品に共通するウォルトが伝えたかった意思をセルフオマージュ盛り盛りで観客に投げかけるという集大成としては理想的な作品。
オマージュ解説したいが、量が多すぎるので今回はやめておきます。

全てのディズニー作品の少し前という時代設定も秀逸。なぜディズニーキャラクターは星に願うのか。その理由がわかる。

受動的だった白雪姫から積極的に行動するアリエルになり、周囲の人々を突き動かす強さを持つモアナのように時代と共にプリンセスのあり姿も変容してきた。そんな中、アーシャは自分のために願うのではなく、ロサスの民のために願うことができる優しい心の持ち主。彼女の信じた願いの強さや夢の為に努力する様を応援したいし、彼女にディズニーの未来を懸けたい。
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