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ウィッシュのkanacoのレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
3.0
創立100周年を迎えたディズニーが贈る〈願いの力〉がテーマのファンタジーミュージカル。原点回帰を思わせる演出も多く3Dアニメで手描き水彩感を敢えての出す演出や可愛い動物たちの活躍は印象的。メインテーマ『This Wish』はやっぱり盛り上がるし素敵。ただ私はこのストーリーに全然納得できなかったな😑💦(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

★登場キャラクター、ストーリーなどのネタバレ記述があります。未鑑賞の方はご注意ください。また辛口です。お好きな方もご注意をお願いします🙏💦




◆あらすじ◆
魔法を操って民の願いごとを叶えてくれるという王が統治する小さな王国ロサス。国民は18才になると王に“願い”を渡し、王は1か月に1つ誰か1人の“願い”を魔法で叶えてくれるのだ。“願い”は一度渡すと忘れてしまうので、叶わなかったり破れたりすることに苦しみを感じることもない。ハンサムで人格者な王への信頼は厚く、みないつの日か自分の “願い”が叶うことを心待ちにしていた。17才の少女アーシャの“願い”は100歳になるも未だ叶っていない祖父の “願い”が叶うこと。しかしアーシャは差し出した全ての“願い”は王によって支配されており、王が自分の統治に都合の良い“願い”だけを選んで叶え、民の “願い”のほとんどは危険思想と断定し閉じ込めているという真実を知ってしまう。「みんなの“願い”を取り戻したい…。王が“願い”を叶えないのならば、自分でその“願い”が叶えられるように…」その真摯で懸命な“願い”に応えるように、空から“願い星”スターが降ってくる。“願い星”に選ばれたアーシャは悪しき王に支配された国を救おうとするが…。

❶創立100周年を迎えたディズニーが贈る〈願いの力〉をテーマにしたファンタジーミュージカル

創立100周年を迎えたウォルト・ディズニー・カンパニーの記念作品となる、劇場版長編アニメーション映画です。ディズニー作品の中でも強い効力を持つ〈願いの力〉…その中でも印象が強い〈星に願いを〉が主人公を力強く引っ張っていくような、ディズニーらしい魔法と夢とファンタジー、そして〈想い〉が強く描かれる作品となっていました。

100周年ということで原点回帰を思わせるようなところも!特に3Dアニメでありながら初期を彷彿させるような手描き水彩感を敢えて出す演出、プリンセス戦闘力のバロメーターとなる主人公に力を貸す可愛らしい動物たちのミュージカルはその色を濃く感じました。

…が、個人的には嫌だなと思うところが目立ちすぎて完全にはノれませんでした😖

❷良かったところ

3Dアニメであるも手描きアニメの水彩感がある絵柄(両方取り入れているのかな?)は、時々マッチして美しく、時々分離して“ちぐはぐ”に感じましたが、全体的には手法に新しさを感じて良かったかな、と思いました。初期の手描きアニメ時代を思わせる、童話を読んでいるような始まりと終わりの演出は良いなぁ~と思いました🥰

ミュージカル色が強かったところもディズニー楽曲が好きなので嬉しかったです。メインテーマの『This Wish』はやはり盛り上がるしとても素敵な曲、ヴィランの王さま福山雅治が歌う『This Is The Thanks I Get?!』も歌詞が酷い奴なのにあまりにも爽やかでポップな曲調で歌うのが面白く耳に残りました。また映像的というよりは舞台的な演出だったように思い、1曲歌い上げた時に拍手時間のような静止ポイントが都度あって、このまま劇団四季のミュージカルなどにスムーズに移行できそうな感じがありました🤔

〈願いの力〉をテーマにしているのもディズニーらしくて良かったかも。王道なストーリーは安心できますし、最後の合唱は力技ですがやっぱりグッときちゃいます。強力な魔法を超えるのは人の心の強さ…精神論!というあたり、魔法以上に人間の力の方が強いんだよ、素敵なんだよ、夢を実現できる力を自分で持ち合わせているんだよっていう主張も希望があって良かったです。

❸好きではなかったところ
(辛口注意です~もはや愚痴っぽいので💦)

設定やキャラクター像に納得感が薄かったです。全国民は願いを忘れること前提で王に願い預けて、それで王が願いを叶えてくれるのが1か月1回1人だけ。これをちゃんと知っているのに全国民は何も思わない…?今年も願いが叶わないと落ち込んだり、不安に思ったりしているのに誰も何も疑問に思わないの🙄❓と、大前提にまず入り込めません。

ミュージカルはアレンジ替えも含め頻繁に流れていましたが、耳に残ったのはメインテーマ『This Wish』と王が覚醒する『This Is The Thanks I Get?!』だけでした。もちろん悪くはないのですが、これまでに比べるとなんだか…大分類すると同じような曲調ばっかりでキャッチーさが普通だった気がします。

ただ曲調ではなく印象に残ったのは、真実を知ったアーシャと仲間たち、そしてある人物が王を倒すために立ち上がる『Knowing What I Know Now』。誰かを倒すために攻撃性を持った言葉を並べて煽りながらも立ち上がる歌なんて今までヴィランにしかなかった気がするが…。なんだかヴィランみたいな主人公たちだなぁってひいちゃったり🙄

そうしてパキッとした勧善懲悪で倒される本作のヴィラン・マグニフィコ王ですが、これがまた何とも言い難いヴィランで…。マグニフィコ王は盗賊に家族を殺され自分に力があれば救えたのにという後悔の念から必死に勉強して国を立ち上げ、結果、傲慢になってより自身の力に溺れ、さらに強い力を欲し、自分の才覚ではなく外因である邪悪な魔法の書に手を出し、その悪の力に飲み込まれてしまった人物です。いわゆるマレフィセントやハデス、ブギーウギーのような最初から悪の美学をもつ完全悪ではありません。

本来はそうではなかったけど過去と現実によってヴィラン化してしまったという風に敢えて描かれる人間的弱さを持つ人物像について、私は『ミラベルと魔法だらけの家』にて、かつて勧善懲悪でどんな悪も死あるのみだった断罪的なディズニーも、キャラを救うようになったのだなぁ~と思っていたのですが、そういうわけではなかったみたい。救わないならヴィランの過去なんて描かずに滅んでスッキリする完全悪にすればよかったじゃない。100周年で“願い”の強さと奇跡を描くのなら、完全悪ではなかったはずのヴィランすら救うような、償いを認めるような、もっとドラマ性のある物語を見たかったな、というのが本音。ミスは決して許さないところにも原点回帰したということ?🤔

ついでに “願い”が主題なのに、人のために尽くすだけの主人公自身の“願い”が何なのか伝わってこなかったのも、キャラクターに深みがないように感じてしまいました。「おじいちゃんの願いを叶える」「人々に願いを返す」っていうその願い=課題は分かりますが、彼女自身の夢はいっさい言及なくて、“優しい”っていうだけのなんとも漠然とした女の子…🤔

それに一時から主人公の女の子の性格、同じような娘ばっかりじゃない??最近のディズニーって主張をメインにしたいあまり同じような人物像ばっかり描いていないか…🤔🤔そしてやはり今作にも詰め込まれたあらゆる強い主張は、いっそ攻撃性すら感じてしまうことがあります。

🌠🐝🌠「本作の予告を何度も劇場で見た時((。´・ω・)ん?これって『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』とほぼ同じ内容になるのでは?)と思ったのですがそれもあながち間違いではなかったです。

正直、私の中ではディズニーアニメ映画の中で、本作はワーストクラスに入るかもしれません。スコアが2.9以下にしなかったのは楽曲『This Wish』と映像の力です。私はディズニー好きなので、ディズニー作品には(MCUなども含め)甘め感想になる自覚があるのですが、それでも納得がいかなかったです。もちろん❷に記述したような良いところもありましたが。うーん…もう一回、『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出』見てこよう…🥺💦」
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