Jun潤

ウィッシュのJun潤のレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
4.0
2023.12.30

2023年映画納めはウォルト・ディズニー創立100周年記念作品で。
監督×脚本は『アナと雪の女王』のクリス・バック×ジェニファー・リー。
なにやら沢山のセルフオマージュやセルフリスペクトがあるとのことですが、それほど思い入れがあるわけでもないので、果たしてどれだけ気付けるのかというところ。
普段海外アニメは吹替派ですが、せっかくなので今回は字幕版にて鑑賞です。

地中海の島で栄える王国・ロサス、国民は18歳になると魔法使いでもあるマグニフィコ王に願いを差し出し、いつか叶う日を夢見て過ごしていた。
18歳を目前に控えるアーシャは、100歳になる祖父“サバ”の願いが叶うことを願っていた。
王の従者となるための面接時、アーシャは、マグニフィコが叶える願いは彼にとって都合の良いものしかなく、アーティストになりたいというサバの願いを叶えるつもりはないことを知る。
アーシャはその事実をサバに伝えるも、彼は叶わない願いをもう一度知るよりも知らないままでいることを望んでいた。
それでもサバやみんなの願いが叶うことをアーシャが夜空に願った時、願い星・スターが現れ、数々の奇跡を起こす。
スターの力を借りてみんなの願いを取り戻そうとするアーシャだったが、マグニフィコもまた、スターを脅威に感じ、捕えるべく禁断の魔法にまで手を伸ばそうとしていたー。

これはまた100周年の節目に相応しい出来ですね。
ストーリーは白雪姫やシンデレラのようにシンプルかつ王道をいくもの。
冒険要素がほぼ無く、ロサス国内で完結したりマグニフィコも、バックボーンの匂わせはあるものの、支配欲からくる純粋悪だったりと、あまりにもシンプルすぎる印象も受けますが、逆に大人子供関係なく、いつ見ても見応えがあるであろう童話的な感じもありました。

作画は手書きから始まりCGに進化してきたアニメ制作の歴史を自由自在に巡るように、当たり前のことなんだけど手書き画が動くことの素晴らしさ、CGに画を乗せられる技術の進化を再認識できるようなものでした。

上述の通りストーリーがシンプルだったからこそ、メッセージ性もシンプルかつ強いものでした。
叶って終わりではなく、持ち続けることで人生の指針にもなる願いの大切さ。
大人になるにつれ忘れてしまい、時が経ちすぎると思い出すことすら怖く感じてしまう願いの儚さ。
奪われ、壊されても心の奥底からは決して無くなることのない願いの強さ。
そして願いを叶えてくれるな存在を失っても、確実に叶う保証もないけど、友人や家族と願い続けることで幸せへと迎える周囲の人の大切さ。
アーシャに際立った個性や能力が無くても、ディズニープリンセスらしく心の強さのみで困難に立ち向かっていく様も良かったです。

ディズニーの歴史のターニングポイントとして、これまでを尊重し、今後にも希望を持たせてくれる作品。
Jun潤

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