先に言っておくと、やや肩透かしだった。だがこれはバイアスによるもので、作品に責任を問うのは筋違い。「本作はディズニー100周年記念作品です」と予め銘打っているのだから、新旧のファンを楽しませ納得させる物語に相違は無い。ストーリーに展開の奥行きを求めるというよりは、純粋にファンサービスの観点で楽しめれば面白かった。表示に偽り無し、勝手にそれ以上を期待したこちらが悪い。
願いは誰かに託すのではなく自分で叶えるものだろうよ(マンドリンは練習しようね)と、この世界の在り方を冒頭から訝しげに感じてしまっている人からすれば100分かけてそれに気付くだけの物語はやや退屈。改めてそれに気付かされた、とポジティブに捉えられなくもないが、ディズニー作品ならその期待値を超えた完成度のメッセージを用意しているはずだ！という期待を満たすには至らず。それくらい近年のディズニー作品は面白い。王道を敢えて外して作っても最後はきっちり王道メッセージに帰着する、とんでもない構成の脚本を連発してるもんだから、気合入ってそうな本作にも期待しちゃうじゃない。だが実に真っ直ぐな起承転結で普通の着地で肩透かしを喰らったわけなのだ。記念作品なんだから王道も王道で良いんだけどさ、懐古的な視点のファンサは直前に『ワンス・アポン・ア・スタジオ』を同時上映してんだしそっちで補完しきってくれても良かったんじゃないかなーという身勝手な感想により、なんか物足りない後味だった。
人の願いを取捨選択するのは確かに烏滸がましい行為だけど、国を統治する為の手段だったという王の供述は一考の余地はあると思う。彼なりの正義であり悪ではないだろう。ヴィランの初期衝動としては懲らしめ甲斐がなく、後半は敵役然とする為に無理矢理力に溺れる状況にしたような苦しさを感じた。
あと始まる前に福山雅治のLIVE映像見せるのやめてくれ。王が歌い出したら「ぶぅどうかぁん」とネットリとファンを煽る雅治の顔がチラついて集中できんくなってしまった…。吹替版で観た私が悪いのか？いや過去に松たか子の名演を劇場でぶちかまされた体験は忘れ難く…プロモーション挟んだ興行側の問題だよな。よって雅治は悪く無い。
