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アアルトのkuuのレビュー・感想・評価

アアルト(2020年製作の映画)
3.5
『アアルト』
原題 Aalto 映倫区分 G
製作年 2020年。上映時間 103分。
フィンランド出身の世界的建築家・デザイナーのアルバ・アアルトの人生と作品にスポットを当てたドキュメンタリー。
フィンランドのドキュメンタリー作家、ヴィルピ・スウタリがモダニズム建築家アルヴァ・アアルト(1898-1976)を描いた今作品。
今作品では、打ち寄せる湖、滝、浜辺、そして彼の建築物、家具、インテリアデザインのしなやかなフォルムなど、水のショットがたくさん登場する。
映画の中では明確には語られていないが、フィンランド語でアアルトは『波』を意味するそうな。
自然の力、生命を与える存在であると同時に、ゆっくりと周囲のものを浸食していくてな感じでした。。。
余談の横道にチョイそれますが、ミース・ファン・デル・ローエ、ル・コルビュジエ、ヴァルター・グロピウスらとともに、アルヴァ・アアルトはモダニズムの偉大な先駆的建築家のひとりで、彼の有機的で地域に根ざしたアプローチは、形式的な箱や直線を木と温もりで憩わせ、細部へのこだわりは他の追随を許さなかった。
このタイトルは、彼のファーストネームを除外することで、彼の妻であるアイノとエリッサの貢献を含もうとしているんかな。
1939年ニューヨーク万国博覧会のフィンランド館に展示されたアイノとアルヴァ・アアルト
アアルト・ファミリー。
シドニー・ポラックが彼の友人を描いた『Sketches of Frank Gehry. 』(2005年)やノーマン・フォスターの伝記映画『How Much Does Your Building Weight, Mr Foster?』(2011)など、アアルトは、ほとんど面識のない父親ルイス・カーンを探すナサニエル・カーンの感動的で素晴らしい『マイ・アーキテクト/ルイス・カーンを探して』(2003)に近い精神性を持っている。
ピアノ、フルート、オーボエ、クラリネットによるオーケストレーションはまばらで、しばしば夢のよう。
1941年から1949年に亡くなるまで、家具会社アルテックの社長であり、建築家でもあった最初の妻アイノとアアルトの8ミリホームムービー、写真集、手紙などが収められていました。
不朽の名作として愛され続ける『スツール60』、アイコン的アイテムである花器『アアルトベース』、自然との調和が見事な『ルイ・カレ邸』などなど、優れたデザインの家具・食器や数々の名建築を手がけたアルバ・アアルト。
同じく建築家であった妻アイノとともに物を創造していく過程とその人生の軌跡を、観客が映像ツアーに参加しているかのような独創的なスタイルで描き出してた。
先に書いたアイノと交わした手紙の数々や、同世代の建築家、友人たちの証言を通し、アアルトの知られざる素顔を浮き彫りにしていく。。。
アアルトは20世紀を代表する建築家のひとりであり、そうじゃなきゃ今作品に意味はないし、製作すらされなかった。
エルザはアアルトの弟子で、彼女の存在はアアルトの晩年の作品に決定的な影響を与えたが、彼のスタイルはすでに確立されており、エルザは常に彼の延長線上にあった。
今作品で優れているって感じたとこは、アアルトの作品を見ることができるシークエンスと云える。
云い換えたら、興味がなきゃ退屈な作品ともとれる。
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