映画おじいさん

颱風とざくろの映画おじいさんのレビュー・感想・評価

颱風とざくろ(1967年製作の映画)
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女子更衣室でののぞきが見つかった言い訳に「若い女性の着替えを見ることがなかなかなくて」とのたまう中山仁にしょっぱなから不安にさせられる。で、笑えるくらいミスキャストな黒沢年雄などなどその不安が的中なへんてこりん映画。
終盤の4人でジャンケンとか井手俊郎の脚本通りなのか?と疑いたくもなる。星由里子とのデートで兄弟が同じことをする(させる?)ところはいかにもだけど。

中山仁が書いたノートを星由里子が細かく破ってお茶漬けにして食べてしまう異様なシーンは、『仁義の墓場』(1975年)の伝説となった食骨シーンに多少なりとも影響は与えていないのだろうか。セックスのメタファーであることは同じだし。

芝生で寝そべりながら「あの人とはどうなったのよ〜」みたいなことを星由里子が同級生に問うと「恋愛は王子様と姫の話ではなく、もっと生臭いもの」と彼氏に言われて捨てられたと突然泣きだすシーンはとても良かった。

中山仁の幽霊が唐突に出てきて一瞬SFっぽくなるヤケクソな展開に至っては狂った時の橋本忍みたいで良いかもと思った。

星由里子が無駄におっぱいをぺろんと出すのはもったいないような気がした。現在の『ヒメアノ〜ル』や『二重生活』のように無駄に死守するのはもってのほかだけど、もっと大切にしなさいとスクリーンに向かって言いたくなったのは私だけではないはずだ。